VRC映像ミステリー『亜京市Vtuber変死事件』を推理した話

概要・リンク

VRCムービーアワード(Twitterアカウント)というものがあり、
第2回VRCムービーアワードの短編作品として、
大宇宙倫理の会(YouTubeチャンネル)が制作した、
亜京市Vtuber変死事件』(YouTube動画)という映像作品があります。

これはミステリー作品であり、推理できる内容になっているということで、推理しました。

 

すなわち……。

問題文:『亜京市Vtuber変死事件』(YouTube動画)

設問文:『VRC映像ミステリー「亜京市Vtuber変死事件」』(note記事)より、「■視聴者への挑戦状」の段落。

解答欄:以下のようなGoogleフォームがありました(現在は受付終了)。
①「四宮かたんを殺害した犯人は誰か?」
②「犯人の動機は何か?」
③「トリックの説明」
④「その他推理したことがあれば自由に記述してください(事件の顛末、黒田の行動、阿我田の行方など)

 

なお、解答は既に明かされています。
自分で一から推理してみたい!という方は、推理が終わるまでは以下のものは見ないようにしてください。

名探偵たちによる「亜京市Vtuber変死事件」推理配信』(作者によるYouTubeライブ配信アーカイブ)

「亜京市Vtuber変死事件」解答編』(作者による解答編note記事)

 

前提

亜京市Vtuber変死事件』(YouTube動画)を見てわかるように、私(でじちゃん)は、この動画を作成した「大宇宙倫理の会」こと「魂川りんり」と知り合いであり、動画内にも私のライブ配信アーカイブが引用されています。ゆえに「人読み」が可能であり、おそらく有利なところがある。また、動画内に出てくる各種の専門用語(大宇宙倫理の会、マシーナリーチルドレン、殺人サイボーグ、票田大作戦など)については知識がもともとある状態です。

ただし、動画内に引用こそされていますが、設問文となる上記note記事『VRC映像ミステリー「亜京市Vtuber変死事件」』にも記載されている通り、動画の内容については私は何も知らされていませんでした。
なので、ミステリーそのものについては初見です。

「動画を使ってもいい?」とは確認されており、承諾しましたが、殺人事件とは聞いてなかったよ

 

それでも、私にだけ確信が持てることが一つある。それは……

・私(でじちゃん)は犯人ではない。

(動画を見て私を疑う人いないだろ)(私が答えだったら単なるクソ問題だろ)

 

では、私の潔白を証明するために、推理をしていきましょう。
(魂川りんりが推理を呼びかけるツイートが以下なんですが、これを見るとワンチャン私が犯人ということもありえるように見えてしまう)(左下のピンク髪は私なので)

 

推理の展開

※ここから先、自分で推理したい人はもちろん読まないでね

 

問題文となるVRC映像作品は発表時に1回観ているとして、設問文を読んでみましょう。

「この映像にまつわる答えは用意されている」はずです…

この文章および、上に掲載したツイッターの画像に記載の内容から、「作者が想定した一つの答えが存在する」ということを前提とします。
モノによっては、答えがないパターンもあり得るだろうからね。

 

「■最後に」のところも重要そうです。確認しましょう。

考察・推理のいくつかの注意点をお伝えします。


視聴者への挑戦状 で求めた真相については、
動画外の情報を集めなければ推理できないものではありません。
(魂川りんりの配信を全て見たり、ボードゲームを買う必要はありません)
それらはあくまでフレーバーとしてお楽しみください。


最後の方に私が送った怖い画像は、
謎の怪奇現象?で送られてしまったものです。
謎の怪奇現象なので、現状これについて考えても意味はありません。
なんか怖いだけです。わたしも怖かったです。

①から、「身内以外でもちゃんと解けるように意識している」と想像します。つまり、マシーナリーチルドレンだの殺人サイボーグだのを深掘りするのは、ミステリーの本筋には必要ないと想定します。

②は、「考えても意味がないダミー演出的なものがある」というヒントだと考えます。考えてわからなかったことは、この文章を盾にしてスルーしていきます。

 

次に解答欄もチェックしてみましょう。以下の4項目でしたね。

①「四宮かたんを殺害した犯人は誰か?」
②「犯人の動機は何か?」
③「トリックの説明」
④「その他推理したことがあれば自由に記述してください(事件の顛末、黒田の行動、阿我田の行方など)

なるほど。推理すべきは「殺害した犯人」「犯人の動機」「トリック」のようです。
「推理すればこの3つは分かるようになっている」ということです。
この時点で既に「トリック……?四宮かたんを後ろから殴っただけじゃなくて……?」という疑問が浮かび、逆説的にどうやら「トリックが存在する事件らしい」ということが分かります。

 

さて、上記の「考察・推理のいくつかの注意点①」から、『亜京市Vtuber変死事件』だけを見れば推理ができるようになっているとは思うのですが、追加で以下の動画も確認します。

 

初配信!VRCHATに挑戦』(YouTubeライブ配信アーカイブ)
被害者の四宮かたんは、このライブ配信中に殺害されたとされる。
余談だけど、これを本当に用意して映像作品を作成してるのがマジですごい……。
なお、このライブ配信にチャットしている「ガミネ」さんも我々の知り合いではあるが、四宮かたんのツイッターやYouTubeチャンネルが映像作品の仕込みとして運用されていることを知らずに(当時は誰も知らなかったけど……)、単純に善意でチャットしていただけの様子。この生々しさがすごい。ミステリーとしては思いっきりノイズなのでこれについては考えないこととします。

 

【Vket2023SUMMER】バーチャルマーケットパラリアル福岡【公認配信】』(YouTubeライブ配信アーカイブ)
上の四宮かたんライブ配信と同じ時刻(四宮かたんライブ配信は23:00から、このライブ配信は同日の22:50から)に行われており、(映像作品内の登場人物としての)魂川りんりのアリバイとなるライブ配信。

 

あと、ズルですが、作者・魂川りんりのツイッターも見ます。以下はヒントになるので見逃しません。口を滑らせたほうが悪い。私は全てを利用するぞ。

「無意味なものは何もないタイプの作品」ではなく、演出先行のところもあると理解。

 

はい、巨大ヒント来たね。何か矛盾があるらしいです。

 

では、ようやく問題文となる本編を見直していきましょう。我々は今、なにも宇宙の真理を見つけようってんじゃなく、「設問の意図を読み取ろうとしている」んですからね。まずは問題文、設問文、解答欄に一通り目を通して、そこから始まりです。そんで設問の作者(=魂川りんり)の独り言や性格も武器にしちゃうってワケ。やみくもはいけません。確実に息の根を止めますよ。

 

以下、『亜京市Vtuber変死事件』を最初から最後まで順番に見ていきます。

まず、四宮かたんの動画が部分的に流れ、続いて新人Vtuberがライブ配信中に死亡したというニュースが流れます。これが我々が推理すべき事件ですね。住宅街、頭部に外傷。

ニュースはそのまま「近所の人」のインタビューになります。この「近所の人」が「桃戸メリー」であることを私は知っていますが、これは動画内で補足されないので、ミステリーを解くのに必要な情報ではないと考えられます。四宮かたんの部屋には騒音でクレームがあったり、「おじさんの女の子」が出入りしていたという情報が出てきます。「VRC映像作品」ということなので、「おじさんの女の子」という奇怪なフレーズについては問題なく通じるのでしょう……。

私が最初に突き当たった問題は、「この物語は”どこで”起きているんだ?」ということです。VTuberという存在にVRChatとYouTubeが絡んだ世界。事件の現場はVRChat上と思われる亜京市です。つまり……「VRChat世界の亜京市で生活している人達」が、「亜京市のマンション自室からVTuber活動をしている」「活動内容にはVRChat配信も含まれる」……うーん。入れ子構造。ここで私が気になっていたのは、「”Vtuber四宮かたん”が殺害されたのか」「”Vtuber四宮かたんの中の人”が殺害されたのか」ですが、総合的に判断して、前者として考えることにしました。中の人などいない。

さて動画は切り替わって、ゆっくり動画のていで事件が説明されます。面白いな……。「ライブ配信中に殺害されたので犯行時刻がはっきりしている」という前提を説明しています。続く魔理沙のセリフ「しかし、それが元で決定的な証拠が見つからず」に不自然なところを感じます。「それが元で」のところですね。「犯行時刻がはっきりしていなければ、決定的となる証拠があった」という意味になると思いますが、ちょっと変です。作者の苦労が見え隠れする。推理していた当時そこまで気にしたわけではありませんが、あとから考えるとメタ読みで怪しい点となります。

続けて、同じゆっくり動画の中で、通報者”R”が登場。あとでインタビューシーンが出てくるので、”R”が「魂川りんり」であることは公開情報。「魂川りんりと四宮かたんは同じマンションに住んでいる」「四宮かたんは魂川りんりを師匠と呼んで慕っていた」「魂川りんりは以前から四宮かたんの部屋に出入りしていた」「魂川りんりは同時刻にライブ配信していたため、アリバイがある」と、一気に情報が入ってきます。

次の場面。ゆっくり動画を作成していた人物の話に切り替わる。この人物の名前は実は動画の最後になってようやくわかる。「雲月」という人物から連絡が来るが、この人物は実在のYouTuber「雨月」さんのパロディであることを知ってしまえば、まあ推理には関係ないサービス人物なんだろうな……というメタ読みが発生する。

また次の場面。今度はずんだもんの声になり、「VTuberのはじめかた」の説明。ここで私のライブ配信の一部が流れますね。「マシーナリーチルドレン」という集団がおり、四宮かたんと関係があるのかもしれない、ということが提示されます。何も知らない人にとっては用語が多くてわけがわからないかもしれないけど、私にはこのへんを気にせずパスできちゃう情報上の優位性が、ある……。

次に、通報者”R”こと魂川りんりのインタビュー。四宮かたんとの関係や、事件当時のことについては、発言におかしな点はない。「マシーナリーチルドレン」について尋ねられると、「知らないねえ」と行って突然ログアウトしてしまう。VRChatのログアウト演出であることは、VRC映像作品なので前提知識として知っていてよいはず。

続けて「票田大作戦」について。新出の用語に惑わされますが、ようするに、魂川りんりは「マシーナリーチルドレンなんて知らない」という態度を取ったが、本当は何かしら関係があるはず、ということ。矛盾ですね。嘘をつく怪しさがある。そしてプッツンキャンセル黒田という新しい登場人物が出てくる。

プッツンキャンセル黒田について、ここで突然「彼は元マシチルで」という表現がされるところについては、正直なところ、制作上の不備だとは思う。「マシーナリーチルドレン、略してマシチル」ということがどこにも説明されておらず、ここ以降いきなり「マシチル」という略語が使われるため。知らない人にも伝わるかな?

「殺人サイボーグが殺しに来た」。このあたりは、私の知識と感覚によって、「事件に関係ないな」とスルー判断をする。あらためて確認してみると、知識によるアドバンテージけっこう……そうとう……大きいかもしれませんね。このあたりにミスリードされて狂っちゃった推理があっても面白そうではある。

さて、音声加工されたプッツンキャンセル黒田の発言はそうとう聞き取りにくい。先述の「マシチル」も言及され、Discordでの作業通話……くらいはVRC民ならさすがに知ってるかな?ぼちぼち知識の持ち物検査が行われる。とはいえ、テロップがつかない部分は聞き逃しても大丈夫なのかもしれない。重要なのは、「大宇宙倫理の会」は内部分裂していたということ、大宇宙倫理の会=マシチルという誤解があり、四宮かたんもその誤解をしていたということ。ところで、完全なる初見を想定すると、「魂川りんり=大宇宙倫理の会の主要人物」というのも、動画内で読み取るためには2、3周必要かもしれんね……。

ここでプッツンキャンセル黒田が2日後に自殺したと語られる。ここで私は勇気の直感スルー。なんか扱いが雑なため、これはダミー情報だろうという判断。(後述、ここはもうちょっと掘り下げられる外部情報があったのだが、私は気付けませんでした。外部情報なしでクリアできる前提ではあるので、ここでのスルーは解答には影響しない)

続けて「VTuberのはじめかた」の内容。池袋晶葉ちゃんとかサイボーグとか人類は滅ぼすとか。これもダミー。やっぱり本の実物を持ってて、著者のことも知ってるからかな……。一切の無情報からこのへんをダミーだと判断するのには、本来どのくらいの推理が要るのかは想像もつかない。

さて、動画下部にスタッフロールも流れ始めて、終わりの雰囲気。ここでようやく、ゆっくり動画を作っていた人物は「阿我田邦彦」という人物だとわかる。この人物は、魂川りんりのアリバイとなるライブ配信を再確認し、何か不自然なものを感じ取っている。(私はこれが何なのか読み取れなかった……後述)

ここからラストの畳みかけ。「阿我田邦彦」が「雲月」の訪問と思ってドアを開けに行く、チェーンソーの音、「雲月」から不穏なメッセージ。そして魂川りんりのライブ配信アーカイブに……なんと四宮かたんのVRCアバターが映り込んでいる!!という恐怖演出、動画終了。え~……ダミーです。ぜんぶサービスのホラーシーンであり、ダミーです。(全部がダミーでもなかった。後述)チェーンソーといえば両手がチェーンソーの殺人サイボーグ、ネットリテラシーたか子……なんだけど、ダミー情報とは分からんだろ!!この動画の中だけでは!!なお、大宇宙倫理の会は今作『亜京市Vtuber変死事件』の直前に『劇場版マシーナリーとも子-ネギトロ真実-』(YouTube動画)も同じく第2回VRCアワードの作品として公開しており、こちらを見れば分かるかもしれない。外部情報……。ただ、チェーンソーに惑わされた人の推理はまあ、やっぱり、面白そうとは思う。それはそうとして『劇場版マシーナリーとも子-ネギトロ真実-』は見たほうがいい。

 

さあ、本編から情報を吸い取りきりましたね。いうほど私は理論的だったか?ダミーとして切り捨てる情報をほとんど直感と事前知識で選んでなかったか?続けましょう。

犯人の可能性があるのは、大本命「魂川りんり」に加えて、いまいち情報の少ない「プッツンキャンセル黒田」というところ。あと一応考えられるのが「犯人はいない(四宮かたんは自分で足を滑らせて死んだだけ)」、「作品に出てきていないマシーナリーチルドレンの誰か」という線ですが、前者は”これだと作品として面白くなくなってしまうため”、後者は”これだと動画内で推理が完結しないため”、この二つは無いものと想定します。黒田の可能性は否定しきれないのですが、やはり結果の面白さとして「犯人は魂川りんり」が圧倒的なので、ここからは「犯人は魂川りんり」と仮定して、「動機」と「トリック」を逆算してみる作業に入ります。

 

「犯人は魂川りんり」を仮定すると、まず何より「トリック」、すなわち「同時刻にライブ配信していたというアリバイ」が立ちはだかります。逆に言うと、ここを解決すれば解答欄にある「トリックの説明」を記入できるので、解答欄の形式に合いますね。この辺でほぼ犯人については確信します。他の人が犯人だとすると、「トリックの説明」欄に書くことがなくなってしまうんです。四宮かたんの部屋に侵入して後頭部ゴン!するだけなので……。メタ読み。また、「動機」についても、映像作品内で心情や周辺の状況がたっぷり説明されてるのは、やっぱり魂川りんりなんですよね。

 

では、同時刻にライブ配信しているのに、どう殺したのか。他にもいろいろ考えられたかもしれませんが、私が検討したのは、「どちらか一方は、本当はその時間にライブ配信をしていなかった」という線。つまり、「ライブ配信に見せかけて、本当は録画を再生していた」というトリックになります。推理の半分は、この裏を取るというか、推理に十分な自信を持つための証拠取りでした。

仮に四宮かたんのほうが録画だったとします。つまり四宮かたんのVRChatライブ配信および犯行は少し前に行われたもので、ライブ配信後すぐに非公開もしくはそもそも公開されておらず、犯人が23:00にライブ配信で録画を再生……と、ここまで想像すると無理がある気がしてきます。四宮かたんは新人Vtuberであることを考えても、YouTubeチャンネルで複雑なことをするのは難しそうです。

では、魂川りんりのライブ配信のほうが録画だったと仮定しましょう。私はまず該当のライブ配信である『【Vket2023SUMMER】バーチャルマーケットパラリアル福岡【公認配信】』を飛ばし飛ばし見て、どこかに時計とか時刻とかが映り込んでないか確認しに行きました。22:50からの配信のはずなのに、別の時間が表示されてたら、録画の証拠になる!ということ。そんな証拠はありませんでした。残念。まあ、そんな確実な証拠があったら、簡単すぎるかもしれない(し、そもそも映像作品外の情報は使わないって言ってるじゃん!)。

それでも何か証拠が欲しいので2点ほどでっちあげたのが、1つは、「動画の冒頭が黒い画面である」ということ。ライブ配信を開始してから録画を再生するまでの”間”が、この黒い画面なのかな?と想像しました。もう1つは、「せっかくのライブ配信なのにチャットに一切反応しない」ということ。実際……VRChatでライブ配信する場合、YouTubeのチャットを確認して反応するのはけっこう大変なのですが。いくら大変とはいえ、一切チャット読みません、反応しません、というのは、魂川りんりがそんなことするかな?(←結局人読みじゃねーか)他のVRChat配信では反応してたこともあると思うし(←思いっきり外部情報じゃねーか)

うーん。正直、これで確定!というほどの証拠ではないです。ちなみに、作品の大オチとなる「魂川りんりのライブ配信に四宮かたんが映っている」については、「これは……ダミーの恐怖演出だな!死者が出演してる、コワイ!ということだ!ダミーであっても秀逸な演出だよね」とか思ってました(これも後述)。なので、この推理を答案として提出した最終的な判断基準は、「これが一番もっともらしいから」でした。ほぼコレだろうなとは思ってるけど、確信ではない……という感じ。

 

いちおう四宮かたんの『初配信!VRCHATに挑戦』のほうもチェックしておりまして、そちらでは「四宮かたんと魂川りんりは、最近仲違いしてしまっている」「四宮かたんとしては仲直りしたい」「四宮かたんは、師匠=魂川りんりがもしこの配信を見ているとしたら、仲直りしたいということを伝えている」といった情報が読み取れます。私は、「魂川りんりを敬愛しているはずの四宮かたんが、同じ時刻に魂川りんりがライブ配信していることを知らないはずはなく、”この配信を見ていたら”というセリフは自然には出てくるはずがないのでは?」と想像しました。このセリフが出てくる理由として、例えば事前に魂川りんりのほうから「この時間はライブ配信をやることになってるけど、四宮かたんのライブ配信を見に行くから」などと連絡があったのではないか、と深読み。……したものの、この推理はたぶん不発だった気がします。まあ四宮かたんのセリフの意図は、「この配信のアーカイブをもし見てくれたら」くらいの意味だったんでしょうかね。

 

ところで、私はYouTubeライブ配信をやったことがあるので、「ライブ配信と見せかけて録画再生」が技術的には可能であることが想像できました。一方で、YouTube(というか配信ソフト)に詳しくない人は、もしかすると「魂川りんりはライブ配信でアリバイがあるから……犯人は違う人だ!」になってしまうのかもしれないと思いました。この辺はちょっと前提知識の有無が壁になるかもしれない。『名探偵たちによる「亜京市Vtuber変死事件」推理配信』にて、「魂川りんりが犯人として、実行犯は別にいた」という推理が複数あったのは、そういう背景もありそうな気がします。

 

さて、犯人が魂川りんりで、トリックはライブ配信偽装だと決めつけたら、残る動機のほうは自然と導かれる感じがします。映像作品の中にちりばめられた独自用語をパズル的に繋げていく作業になるのかな。私はほとんど元々知っていたためスムーズで、「四宮かたんはマシーナリーチルドレンと仲良くなっていったが、魂川りんりは少し前にマシーナリーチルドレンと決別していた」「魂川りんりは四宮かたんと元々交友があり、デビューも手伝ったのに、その四宮かたんがマシーナリーチルドレンのほうと仲良くなったため不満を持った」「四宮かたんとしては、マシーナリーチルドレンと仲良くなることで魂川りんりの不興を買うとは思っていなかった。魂川りんりもマシーナリーチルドレンだと思っていた」といったところを読み取りました。これらがそのまま動機および背景ですね。一つ説明させていただきますと、「もともと大宇宙倫理の会=マシーナリーチルドレンだったが、今は魂川りんり派とマシーナリーチルドレン派で分かれている(意訳)」というのはあくまでこの映像作品上の設定で、実際にはもろもろ異なります。ここはマシーナリーチルドレン当人であっても、作品の内容に沿って推理する必要がある箇所ですね。

 

ちなみに解答欄の最後にある「黒田の行動、阿我田の行方」ですが、私の解答としては「黒田はもともと精神が不安定であり、自殺はこの事件と関係なく突発的なもの」「阿我田はたまたま殺人サイボーグに殺された」というものでした。要するに「これらは事件にとってダミー情報です!!」という思考放棄表明です。

 

では推理がまとまりました。Googleフォームに記入し、待つこと1日(私が解答を提出したのは日付が変わって2024/5/1になった頃、そして解答編が発表されたのは2024/5/2。駆け込みもいいとこ)。『名探偵たちによる「亜京市Vtuber変死事件」推理配信』(YouTubeライブ配信)および、『「亜京市Vtuber変死事件」解答編』(note記事)が続けて発表されました。答え合わせをしてみましょう……。

 

答え合わせ

ヨシ!大勝利!きもちよかったです。細部のハズレについては目を逸らすこととします。大筋は合ってるから……。いささかマジレス野郎すぎたか?と不安だったところもありますが、勝てば官軍よ~。

推理配信では、他の方の推理も聞けました。存外に面白い!推理の中には背景となる物語があるわけで、人それぞれの解釈が入り込むので味わいがありますね。もともと色々知っているマシーナリーチルドレンだからこその深読みや、用語を知らない人だからこその偏りのない切り込みも良かった。

さて、解答編を読んでみると、私が雑にダミーと切り捨ててしまったものにもいくつか、ちゃんと意味がありましたね。てへ。あと単純に推理が足りなかったところも。

まずプッツンキャンセル黒田の末路。これは、大宇宙倫理の会VRC映像作品の前作である『voyeurism』(YouTube動画)に関係があったのでした。うーん、考えが至らなかった!前作とはいえ動画の外部なので、推理には影響しないという意味ではスルーでも問題はなかったんだけど、これは凝った造りでしたね。

そして、ラストで阿我田邦彦が感じ取っていた違和感の招待。彼はライブ配信アーカイブのチャット欄の、「上位チャットのリプレイ」「チャットのリプレイ」のところをいじっているんですよね。私はここに目を取られて、別に非表示になってるチャットはないよな~とか思っていたんですが、正しくは魂川りんりの「待機チャットだけは見れる」という発言を気にしていたとのこと。このライブ配信には待機チャットが存在しなかったのにこう発言しているところが、録画を疑わせる一因だったということなんですね。

最後に、大オチである、ライブ配信に映り込む四宮かたん。「死人が映り込む恐怖演出~w」などと勝手に盛り上がっていたのですが、「事前録画のため、インスタンスにJOINしていた生前の四宮かたんが映り込んでしまっている」というもっともな理由がありました。た、たしかに~!録画であることを推理の軸にしていたのに、なぜか「死後の四宮かたん」だと思ってしまっていた。生きてる頃じゃんね。うっかり。

 

本当の未解決事件

あの~、ここからは動画内の話じゃなくて、動画外というか、映像作品を制作した魂川りんりの話になるんですけど……。

魂川りんりは実際に、「22:50から大宇宙倫理の会チャンネルでVket公認配信」「23:00から四宮かたんチャンネルでVRChat配信」をやってるわけですよね?VRC映像作品の仕込みとして。

 

どうやって???映像作品の中では魂川りんりと四宮かたんの2人がいるからいいけど、現実で???

 

まさか、マジの録画なんですか?Vketのほう?公認配信を???

 

Vketライブ配信のアーカイブを見てもらうと分かりますけど、実際に私も視聴者としてそこにいて、チャットに反応がないことなんか気にしないままガンガン話しかけてるんですよね。マジで録画やったの??公認配信で??

 

公認配信が騙りだったとかでもなくて、ちゃんと公式ページに載ってるんですよね……まあ公認配信者も相当な人数いますけども。

嘘じゃない……

 

どちらかを録画でやるなら、どっちかといえば四宮かたんのライブ配信のほうが録画なんじゃないかとも思ったんですけど、22:50から魂川りんりライブ配信を始めておいて、23:00の四宮かたんライブ配信を録画で流すのは難しいだろうし……終わったあとライブ配信を終了できない気がするし。どんなにスムーズにやっても、VRChatでライブ配信しながらだったら動きが不自然になるはず。

誰か協力者がいたのかなあ?でもクレジット表示では、四宮かたんのアクターは魂川りんりになってますよね……。

 

私は怖いです。仮に録画だったとしたら……。Vket公認配信を事前録画し、四宮かたんアバターをはじっこに仕込んだ状態で43分の擬ライブ配信を撮りきり(ここは誰かの手が要るはず……?あるいは、複アカウントか!?)、22:50に大宇宙倫理の会チャンネルでライブ配信を開始して録画を流し、10分の間に別で四宮かたんチャンネルに接続して23:00にはライブ配信を始め、一発撮りの撮影で「ギャーいたーい!」を熱演する、魂川りんりが怖い……。Vket公認配信すらも映像作品の仕込みとして利用し、この尋常でない撮影行為をやりとげ、おそらくはほとんど誰にも語らぬまま一人で抱えきり、『亜京市Vtuber変死事件』を完成させた魂川りんりが……。

そんで、いくら短編とはいえ『劇場版マシーナリーとも子-ネギトロ真実-』も撮って、2作品投稿している魂川りんりが。撮影にあたって3Dモデルも多数作ってるのよね。マジで怖くなってきた。これって解答編ありますか?

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