映画感想 『RRR』(字幕)

リンク等

RRR日本語公式サイト

上映時間179分。
日本では2022年10月21日公開。

 

あらすじ・概要

 『バーフバリ』の監督によるインド映画の新作です。
 インドがイギリス帝国によって支配されていた1920年代が舞台。イギリス人による支配と迫害に立ち向かう、強靱なインド人戦士2人の架空の物語です。強靭すぎる。物語は架空ですが、2人の名前は実在した独立運動の活動家から取っているそうで、「2人が歴史上に登場する以前の空白の時代を舞台に」しているそうです(Wikipedia記事より)。

 

評価・感想

総合評価:★★★★
面白さ :☆☆☆☆☆
すごみ :☆☆☆☆☆
手軽さ :☆
当ブログにおける作品の評価基準についてはこちら(別記事)

 

・3時間は長い!

 すばらしい内容ですが、いかんせん3時間は長い!!自分で確認したわけではないですが、インド本国での上映では途中で休憩時間が入るという話を聞きました。実際、作中で「インターバル」と表示されるシーンはありましたね。休憩があったら★5にしてもよかったかも。インターバルのところで切って前後編にしてもいいくらいなのでは……。

 

・エンディングスタッフロールが好印象!

 いきなり映画の最後から話しますが、エンディングスタッフロールが素晴らしかったです!黒背景にスタッフの名前が流れるだけで5分とか10分とか続くスタッフロールのことを私はよく非難しているわけですが、この映画では画面の右側1/4くらいの大きさに黒背景スタッフロールが押しやられ、残りの画面でずっと登場人物達が踊っていましたね。あの大きさのスタッフロールでは文字はまず読めないと思います。思い切った采配に感動しました。

 

・主役2人(ラーマとビーム)の見分けがつくか心配ではあった

 同じ種類の生き物の見分けは付きにくい。結局なんとかなりましたが、最序盤は「この2人を常に見分けていかないといけないのか……」と不安がありましたね。なお主役はなんとか見分けがついても、他のインド人登場人物の見分けはだいぶ厳しい模様。

 

・あとはもう色々とすごかった

 思い返せばストーリー自体はそう複雑ではありませんが、3時間退屈しないだけの物語のうねりがありますし、多くのシーンはインパクト抜群でした。ところどころインパクト重視でリアリティや繋がりを無視していると思いますが、その思い切りの良さで面白い映像の連続になっているんでしょうね。「それってやっていいんだ!」と気付かされる、自分の価値観が凝り固まっていたことを思い知らされるようなシーンがたくさんありました。インド映画だからなのか、単にこの監督が奇抜だからなのかは分かりませんが……。それでいて伏線はしっかりしている。そういえばビームの仲間が生肉を地下?に投げ込んでいたシーンって、捕らえていた動物たちにエサをやっていたのか……って映画を観終えた後に気付いたり。

 ちなみに、中でも強めに「いいの!?」と思った点を挙げると、まずパーティーを散々荒らされた後にも関わらず、ビームを捕らえた功績でラーマが特別捜査官に昇進するところ。心証としては手遅れじゃないですか?そして軍を挙げた捜索から逃走中のビームが、ラーマを救い出す決心をしたあと、しれっと包囲網をくぐり抜けてラーマのいる牢に辿り着いていることと、それをしれっとジェニーが助けていること。包囲網に抜け道がなくて困ってたんじゃないの!?そしてジェニー、パーティーをあれだけ荒らされたのにビームを助けていいの!?そもそも君たち、言葉が通じないのでは!?最後に、マッリの母親が生きてたこと。あの演出で死んでないの!?!?

 

・好きなシーン

 わけがわからないのを映像だけで説得力を持たせてくるシーンが良かったですね。まず男の子を救うために主役2人が出会って橋の両側から飛び込むシーン。「そんな短いハンドサインでこんな意味不明な作戦が伝わるわけないだろ!」というツッコミが思わず出てしまいますが、そこまで含めて、そういう無茶が通る2人なんだな、2人が揃うと何でもできちゃうんだな……という説得力に置き換えられてしまった。観客を無理矢理わからすな。

 続いてみんな大好きナートゥのシーンですが、ここで個人的に一番よかったのは、煽ってきたイギリス人ダンス自信ニキが最終的にナートゥの流れに屈して、突如開幕したナートゥバトルロイヤルにも参戦し、3位まで残る奮闘をしたところ。話を動かすために嫌味なキャラクターを単に登場させるのではなく、ナートゥの懐の広さを印象づけるのに利用すると共に、憎めない良さがあるキャラクターとして退場させるところがいい作品だな~と思いました。ちなみに私は、ナートゥよりはイギリスの踊りのほうが好きかなって……。

 ラーマがなんらかの戦いに参加する時にいちいちスローモーションになって固有BGMが流れるのも好きでしたね。ラーマつよい。作品全体を通して見た今、感覚としてはビームよりラーマのほうが活躍が多かった印象があります。群衆の中にたった一人で飛び込んで生還するところから始まって、弓を持って文字通り鬼神のような強さを発揮するところまで……。少年ラーマが1本のライフルでイギリス兵を殺しまくるシーンも戦争映画的な面白さがありましたが、強く印象に残ったのはやはりビームとラーマが合体したムキムキ肩車戦車ですね。肩車状態なんて絶対強いわけないとは思うのですが、異常なアクションシーンの連発でなぜか強いような気がしてきてしまう……。ラーマが両手で二丁持ちにした小銃のスライドを、下になって両手が空いたビームが引くというアクション、アイデアがすごすぎる。ラーマが腕で何かを掴んで脚の力でビームを持ち上げるような場面も数回ありましたけど、あなた膝がボロボロなんでしょ!そのあとビームが何か薬を塗ったらすぐ全快して走り回ってたし……。英雄ってすごいなあ。

 

・勉強にもなる

 面白かった映画は、そのあとwikipediaとかを読んで情報を補充したくなります。イギリスによるインド支配くらいは知ってましたが、インド独立までの細部となると全く知らず。日本の受験世界史程度ではさほど踏み込まない題材かと思いますが、やはりインド本国となると熱量がぜんぜん違いますよね。エンディングでたびたび登場していた似顔絵のようなものも、たぶん独立に関与した偉人達なんでしょうね。全然知らない……。そういうところに興味を持てるのもいいことだなと思いました。

 そして憎まれ役となるイギリス人の側で出演した俳優さん達もすごいなと思います。特に総督夫人。すごいキャラだったな……。この映画は架空の物語にしても、イギリス帝国くんの実際の歴史上のやらかしは枚挙にいとまがないので、ぜひ調べてみよう!

タイトルとURLをコピーしました