感想 映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ

これ私だ……。
でじちゃんよ。

ずいぶん話題になっていたので、「すみっコぐらし」の映画を観てきました。
ここから先はネタバレを大いに含むので、興味があってまだ観てない人は戻るのよ。

確かに大人でも楽しめるような物語があったわね。
近年は「大人向けの絵本」というのもそれなりに聞かれますが、
それに近しいところがあるんじゃないかしら。
すみっコぐらし自体、ゆるキャラ+絵本みたいなコンテンツよね。たぶん。

濃厚なストーリーだとか、綿密な伏線だとか、そういう感じではないと思ったかな。
ちゃんと子供向け映画というジャンルの枠を守ったうえで、
同伴のご両親もそこそこ退屈せずに観ていられる良い品質。

私が思うに良いところはまず、動きがかわいいところね。
「すみっコぐらしの映画」として期待されるものを果たしているように思う。
家族連れでお子様がたくさんいらっしゃる時間帯に観に行ったんだけど、
お子様が口々に「ねこー」とか「とかげー」とか言ってらっしゃいました。
「劇場ですみっコが動く」というだけで、十分な意義があるのでしょう。

で、やはり大きなお友達にもウケているのは「ひよこ?」のお話よね。
実際、彼(彼女?)の境遇と結末には私も目頭が熱くなったところであります。
彼の物語が、一見「いつものすみっコ達がかわいく動いてるだけ」にも見えた序盤から、
ちゃんと無理なく展開されてきていたことが分かる造りになっていて、
ここが大人を唸らせた一番のポイントでしょうね。
ただ、最序盤に、彼の存在の不穏さを視聴者にアピールする演出として、
彼の体にノイズがかかる演出があるんだけど、
これは子供には伝わりにくく、大人に向けた演出に思えるわね。
これ、私も最初はワクワクさせられた演出ではあるんだけど、
オチ的に彼は最初からずっと「絵本の中の存在」であるわけで、
デジタルなノイズ演出は、不当な演出だったんじゃないか?と、観た後の今は思うわね。

すみっコ達の声がないのも良いわね。
作品の雰囲気を保っていると思う。
ナレーションはどちらとも言えないところ。
悪くないし、無かったら分かりにくいだろうけど、でも無いバージョンも観たくはなる。
音楽が地味に良い箇所があって、特に終盤の盛り上がりは音楽に支えられていたと思う。

微妙に感じたのは、やっぱりさすがに大人が観るにはテンポが緩やかすぎるところね。
「全てのすみっコに活躍の場を用意している」という側面では評価できるんだけど、
その分、全員の活躍を一つ一つ流していく中盤は退屈なところがあった。
「大人が観るには」とは言ったけども、周囲の雰囲気を見るに、
お子様も若干飽きてたんじゃないかしら?(勝手な思い込みかもしれない?)
60分の映画なんだけど、60分とはいえお子様には長いのかもしれないわね。
でも短いのは正義よ。120分の映画はキツいわ!
※当初、「1100円で安くてよかった」と記述していましたが、
 それはたまたまそのとき安かっただけのようでした。失礼しました。

あと気になるところ、妙に恐怖を煽りすぎるところがある気がした。
絵本がすみっコ達を吸い込むシーンとか、狼がとんかつを追うシーンね。
絵本の中にあんな鬼おらんかったやんけ!
画面が微妙に怖いのと、何より音声がそこだけ大きくて良くなかった気がする。
恐怖に声を出してるお子様もいたわね。
もちろん大人が見る分にはぜんぜん怖いことはないんだけど、
周囲のお子様の反応がちょっと気になっちゃうのね。

ここから先は、記憶に残ってるシーンについてメモ程度に書き散らしていこうと思います。
私は完全にニワカで、事前に公式HPと「そらいろのまいにち」を読んだくらいなので、
他の情報を漁ればまた変わってくるところもあるのかもしれない。

・ハイスペとかげ
最初にキャラ紹介があって、完全に初見、すなわち
付き添いのご家族とかでも楽しめるようになっててすばらしいわね。
そこで各キャラが紹介されるわけだけど、
「すみっコしか行き場所がない」みたいなキャラが多くを占める中、
とかげだけ自宅持ってて、こいつ……ズルいな!と思いました。
とかげは顔もかわいく、性格に問題もなく、
ただ「人のため、自分のため、嘘をついていることが後ろめたい」という、
ひたすらカッコイイキャラであり、血統も良い。
そして実はすみっコに集まらないでも自宅の森で仲良しがいる。
イケメン……ハイスペック……。
さらには水中行動も可能であり、今回は謎の吐息を使って
水に入れないすみっコ(とんかつ、ねこ)をサポートした。
リトルマーメイドでは悩ましい人魚姿を披露。なんでもできる。

・アーム
アーム兄貴の活躍(特にぺんぎん?に対する)を結構期待してたんだけど、
思ったほどは出番がなかった。
特に、最終盤で絶対いいとこ持ってくだろ!と思ってたんだけど、
案外ちいさい出番で終わった(いいとこではあった)。
今回の話はぺんぎん?とひよこ?の繋がりが大事なので、
あえてアームとの絡みは減らしたのかな……?
アームでつままれるぺんぎん?はかわいい。

・喫茶すみっコ
まめマスターとは。
コーヒーに自信アリの喫茶店に、がっつりメシ食いに行くすみっコ達。
まめマスターが一人でやっていくには広すぎる店内、
そして誰がいつ貯蔵したのかも分からん謎の地下室。
謎が残っている。ここは何。
すみっコ達が注文したメニューを最後に食べるシーンは欲しかったな。
結局おにぎりしか食べてな~い

・船上パーティ
リトルマーメイドの場面で、船の上でパーティが行われてるわけだけど、
そのパーティの解釈が完全にパリピ寄りで、エレクトロな音楽流れてて面白かった。
これはさすがに大人向け演出かな?とは思った。
でも子供にも分かりやすいわよね。

・ぶらたぴ先輩
ぶらっくたぴおか君がどういう存在なのか気になってるんだけど、
映画ではあまり出番が無かったわね。
中盤までの流れで「絵本の中にはぶらたぴ入らなかったのかな?」と思ったら、
終盤でチラッと映ってて驚いた。
そんでまた終盤の脱出シーンで「ぶらたぴ脱出してなくない!?」と思ったら、
平気で外にいた。
ぶらたぴ分からん。

・狼くん
散々おっかけて、ベッドで襲いかかるくせに、
相手がむしろ乗り気になると途端にヒヨって、逃げ出すところ、
「現代の狼くん」を演出すな!
一転攻勢とんかつ

・アラビアンナイトのボタン
それぞれのお話が繋がっていて、ページを破ったり裏返ったりすると移動できるところ、
おもしろギミックを感じさせて私の中のキッズも沸いてたところなんだけど、
赤ずきんからアラビアンナイトに移動する謎の回転ボタンに関しては、
脈絡がないので、さすがにネタ切れだったのかな……と思った。

・ひよこ(本物)
原作の「とかげ(本物)」と「ぺんぎん(本物)」、エグいな!と思ってるんだけど、
映画でも「ひよこ(本物)」が出てきて悲壮すぎて笑ってしまった。

・スタッフロール
ひよこ?との別れは実際悲しく、私の席の近くにもおそらく
そこで感極まってしまって嗚咽していたお子様がいらっしゃった。
でも、すみっコたちの冒険のおかげで狼や鬼とも仲良くなっていたのが良かったし、
そのあと白紙のページにすみっコたちが書き加えたキャラクターとのお話が、
スタッフロールで流れる仕様はすばらしいと思った。
スタッフロールはやっぱり退屈らしく、お子様はしびれを切らしていた感じがあるけど、
それでもあの映像があればいくらか集中力が続くわよね。


そんな感じかな~。
カルト的な持ち上げ方をするのには懐疑的なところがありつつ、
確かによく作ってあって、コンテンツを活かしている、いい映画だと思いました。
私は丸っこいキャラクターが好き。

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