漫画感想 『金色のガッシュ!!』(完全版)

概要

金色のガッシュ!!完全版(Kindle版、Amazon)

 

 もともと完全版3巻まではAmazon Prime特典で読めたので既読でしたが、全巻買ったのであらためて1巻から読んでいきます。ちなみに単行本だと全33巻とのことですが、完全版だと全16巻になっています。

 1巻読むごとに感想を書いており、あとからさかのぼっての加筆修正は基本的にしていません。第3巻あたりで一度、表記を統一するためにさかのぼったような気はする。前の巻で言ってた感想が覆る箇所なども楽しんでいただければと……。

 

 訂正記録(間違いのご指摘ありがとうございます!)

 2020年11月21日18:20 魔物の名前「パムーン」を「バムーン」と誤記していたのを修正

 2020年11月21日18:29 第9巻ガッシュカフェの感想で「スギナはまだ登場していない魔物」と誤解しているところに追記(第1巻に登場している)

 2020年11月21日18:57 魔物の名前「バリー」が「ベリー」になっている箇所、「ティオ」が「フィオ」になっている箇所があったのを修正

 2020年11月23日11:15 パートナーの名前「エリー」が「メリー」になっている箇所、呪文の名前「ジガディラス」が「ジガディウス」になっている箇所があったのを修正

第1巻

 第1巻の内容:コルルの本を焼く。フェインと戦い始める。

 

 主人公・清麿が天才設定なのがいいですね。有名作なので主人公の見た目くらいは知っていましたが、読む前はてっきり、よくある熱血でおバカな主人公だと思っていました。むしろ冷血で知能派。私の好みの話ですが、主人公は賢い設定のほうが好きですね。

 

 冷血に振る舞う主人公から熱血展開を引き出すというのが1巻で繰り返される展開ですが、これがちょっとわざとらしく、クサい。キャラクターが露骨に大泣きするところがね……。一方、そこが作品のいいところでもあると思うので、1巻はここに慣れていくための導入ですね。

 

 キャラクターとしてはシェリー(ブラゴのパートナー)が美人でよいですね。あと清麿が入院してる時のナースさんがセクシー。スズメさんは……頭が弱すぎるキャラクターはちょっと困りますね……。コルルはかわいいし、話が切ない。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、ガッシュとゴフレ)

 シュールギャグ。

第2巻

 第2巻の内容:進一&エシュロス戦。フォルゴレ&キャンチョメ初登場。リュック&ロブノス戦。でかいババアの話。残りの魔物の数が70名に。恵&ティオ初登場(レンブラント&マルス戦)。イギリスへ。

 

 進一は顔がいかつく、最初こっちが魔物だと勘違いされた人間。進一戦はいいですね、進一が途中で強くなって清麿に勝ってしまうところが……。私は覚醒展開が好き。

 

 フォルゴレとキャンチョメは現時点ではひょうきんなキャラクターだな~という印象。フォルゴレはイケメンでよいですね。

 

 恵&ティオは順当にかわいいヒロイン枠っぽいので今後の活躍にも期待。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、ティオとコルル)

 コルルが再登場してうれしい。わりとシュール。ティオの笑顔。

第3巻

 第3巻の内容:イギリス編。ステング&バルトロ戦、森で記憶を取り戻す、ジェム&ヨポポと共同でイギリス紳士&キクロプ戦、フォルゴレが病院を見舞う、帰国に際してウマゴン(シュナイダー)が付いてくる。シェリー&ブラゴの過去の話(ココ&ゾフィス)。日本でアポロ&ロップス戦が開始。

 

 舞台が日本からイギリスに変わるのは雰囲気が変わって新鮮でいいですね。「一人で勝手に行くやつを追いかける展開」は好きじゃないのでヨポポは微妙かな……。

 

 露骨に強キャラ臭のするアポロとの戦いが始まり、一度情けをかけられたところで3巻は終わり。ここまでの感じでは好きそうなキャラ。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、キャンチョメとブラゴ)

 思いがけずいい話。歌回。シェリーすき。

第4巻

 (ここからちょっと書き方を変えます)

 

 総じてこの辺で、「喋れない魔物系はちょっとダルいな……」「新しい呪文が発動しないネタもダルいな……」「戦いのルール上、再登場予定のない魔物の本は必ず燃えるし、そのたびにお涙を頂戴できるんだな……」と冷めた感想を持ち始める。一方、この世界観のおかげで、新キャラが2人セットだし入退場の回転率もいいのはよくできてると思いました。そのたびに新しい呪文も出るしね。

●アポロ&ロップス戦の続き

 一度は手加減してもらったが、そのあと全力で戦い、引き分け。アポロ本人に特殊能力があるっぽいし、これはいいところで再登場するキャラ……あるいは、更なる強キャラを演出するための踏み台となってあっさり退場するかのどちらかではないかと推測する。再登場はもっと先かと思ったけど、そこは予想がはずれ、同じ4巻のうちに再登場。

 

●ナオミちゃんを救おうとしたガッシュをナオミちゃんが救う回

 ナオミちゃんおもろいけど、あまりにも人外……。

 

●Mr. ゴルド&ダニー

 人間っぽい見た目かつ頭身の高い魔物が出始める(今までもデカいのはいたけど)。どちらかというと大人な魔物のほうが強いし賢いしで好きですね。ダニーは好印象だし、話も綺麗にまとまったと思ったのですが、最後は理不尽な交通事故であっさり本が燃える。ここで「あっそうか……敵対してなくても退場させなきゃいけないんだ……」と察する。

 

●ルーパー&パピプリオとヒゲ&ゾボロンのコンビ戦

 コンビ戦が面白いですね。主人公達は長く戦うので汎用的な能力になりがちですが、敵なら尖った性能にできるので、パピプリオで足止め+ゾボロンで攻撃という仕組みが分かりやすく面白かったです。恵&ティオのバリアもわかりやすくチーム戦向きですね。恵とティオは持ち主も魔物もかわいいのでよいです。恵は変装の一環なのか、眼鏡をかけます。よい。意外にもルーパーとパピプリオは本が燃えずに逃げおおせるので、再登場の可能性が?

 

●リィエン&ウォンレイ救出(共闘でザバス戦)

 チャイナ娘好きある。ウォンレイも今まで出てきた魔物の中ではもっとも順当に強そうかつ賢く、好感。ルックスもイケメンだ。アポロ&ロップスのように「現時点で清麿&ガッシュよりも強そう」な組み合わせとして決着。再登場するのであろう。敵の本の持ち主の名前はわからず(感想を書くにあたって、魔物と持ち主の名前を確認するのが地味にめんどい)。

 

●アポロ再登場(アポロ&ロップス対デュフォー&ゼオン戦回想)

 というわけで早くも再登場したアポロは強キャラの踏み台に。散々匂わされてきた「ガッシュに似ている魔物」が登場。持ち主デュフォーも強くてクール。アポロを通じてデュフォーとゼオンを知るということで、必要な情報を読者に知らせる手法がうまくていいですね。アポロ本人の特殊能力みたいなものは説明されずじまいでしたが、更に再登場あるかな?

 

●日常回(カマキリジョー)

 日常回を挟めることは漫画としての懐の広さだとは思いますが、個人的には特に日常回に面白さは感じていませんね。だいたい清麿抜きだったりスズメ入りだったりしてバカ多めになるので……。

 

●特別編(恵が王女と入れ替わる)

 恵&ティオすき。王女もかわいい。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、ダニーとウォンレイ)

 いい話。頭身の高い魔物好き。(ここで遡って1巻~3巻のオマケの感想も書きました)

 

第5巻

●ガルザ&バランシャ戦

 温泉旅行におびき寄せられる回。純粋な1対1は久しぶりな気がしますね。いつもの逆転劇ですが、やはりこういう時は清麿の天才設定が活きていてよいと思います。敵の本を燃やせていないパターンなのでやや不穏。

 

●石版の話

 石版は破壊不能な未知の鉱物でできてるらしい。3つ出てくる。そして残りの魔物の数が40名になる。

 

●フォルゴレ&キャンチョメ対フリト&バーゴ

 バーゴが割とかわいげがあり、本が燃えて少し残念。フォルゴレはかっこいいんだけどキャンチョメがまだちょっとね……弱いのよね……。

 

●グスタフ&バリー戦

 主人公より敵の方が強いパターン。頭身高い魔物、強くていいな……。グスタフはバリーを成長させようとしており、戦う中で「強い王になる」という目標を得られたので、成果十分として清麿&ガッシュを見逃す。「敵か味方か?」系のキャラクターが増えてきましたね~。

 

●ウマゴン日常回

 日常。ウマゴン主役。特になし。

 

●ナゾナゾ博士&キッド戦

 ビッグ・ボイン登場回でもある。今度は戦闘の中で清麿にヒントをくれる敵役で、ガッシュのパワーアップに繋がる。ここでも本は燃やさず、おそらくは友好的な関係が築かれる。色々な組み合わせが出てきて話が複雑になってきましたね。

 

●シェリー&ブラゴ

 出会った当時と比べてブラゴが人格的に成長している話。色々と前振りしている組み合わせなので、あとで大活躍して欲しいところ。あっさり退場しないでよね~~~

 

●オマケ(ガッシュカフェ、パピプリオ、ゾボロン、キッド)

 ゾボロンが喋る。おもしろい。キャラクターの動かし方がすごいわよね……。

 

第6巻

●ウルル&パティ戦(+100話記念の人気投票)

 パティちゃんそこそこかわいいですね。パティはビョンコ(カエル)と共に逃走し、ロード(のちに正体が判明)に合流。石版から千年前の魔物を蘇らせるとのこと。今まで、戦いに負けた魔物は魔界に帰るという説明がされていましたが、石版は千年前の戦いで「石のゴーレン」に石化されて魔界にも帰れていない魔物だったということが判明。いきなり重い設定が出ましたね。展開としては若干、「人気だからちょっと敵を増やして引き延ばそう」みたいな感じもありますが……。

 

●パティ再戦

 石版の魔物が活動開始。5巻で敗北するも逃げおおせていたガルザ&バランシャが餌食に(しかし本を燃えた直接描写はなく、敗退は未確定?)。

 千年前の魔物を引き連れてきたパティに対し清麿&ガッシュは敗北するも、パティが長々とたくらみを説明してるうちに怒りで復活。根性論はちょっと……。更にナゾナゾ博士に声をかけられた恵&ティオが駆けつけて援護。ティオが2種の新呪文で大活躍。この辺からガッシュの最強呪文が割と連発されるように……。パティは撤退。

 

●ロードの正体判明

 シェリー&ブラゴも千年前の魔物を撃退。シェリーがロードの正体をココ&ゾフィスだと見抜く。ココが再登場に際して派手な新衣装になってて草。かわいいけども。

 

●ロードの拠点へ

 ナゾナゾ博士が声をかけて回っている魔物達が千年前の魔物達の本拠地に集合。この時点では清麿&ガッシュ、恵&ティオ、フォルゴレ&キャンチョメ。ついでにウマゴンが同伴しており、ウマゴンの本をウマゴンが持っていないことが示唆されている。

 ここでの戦闘はキャンチョメの呪文が大活躍。どちらかといえばフォルゴレの指揮下よりも清麿の指揮下での活躍が多いけども……。協力プレイのボードゲームが、結局のところ一番うまいプレイヤーの一人プレイになってしまうのと似たようなものを感じる。清麿が一番賢いので、魔物の操作は全部清麿がやればいいのね……。

 ロード(ゾフィス)が千年前の魔物を操っている方法(ルール)が、倒した敵の供述によって判明。

 

●ビクトリーム戦

 前の戦いから回復しないうちにビクトリームが襲撃。ビクトリーム戦はギャグがいい感じで面白かったです。ここでもキャンチョメの呪文が活躍。ウマゴンが本拠地の外に向けて何か吠え、また傷も癒えないうちに別の敵が現れる。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、ビクトリームとレイラ)

 レイラは巻の最後でようやく登場したので、まだ何もわからないキャラ。千年前の戦いのことが語られる、いい感じのオマケですね。ビクトリームの千年前のパートナーは紫式部だったというネタで締め。

 

第7巻

 正直、「千年前の魔物編」に飽きてきました!!

 

●レイラ登場

 前の話で追撃をかけた魔物のうち片方のレイラは、千年前の魔物でありながら友好的という話。見た目もかわいくてよいですね。「逃げろって言われてるのにすぐ逃げない」展開はそんなに好きではないわね……。

 

●ウマゴンのパートナー、サンビーム登場

 裏切ったレイラと、本のないガッシュで共闘するも不利。そこにウマゴンがサンビームを連れて戻ってきて、ついにパートナーと戦場に立ったウマゴンが大活躍……という回なのですが、サンビームはものすごい強キャラの割に登場があまりに唐突なのでいまいちしっくり来ず。散々引っ張った割には、ウマゴン自体が強いんじゃなくて、パートナーが異常に強いから強い、という展開。話の盛り上げ方が上滑りしているような感じで、個人的には微妙でした。ただ、以後のウマゴンの活躍はいいですね。馬型であることを活かして人間を運んだりできてますし、戦闘でも移動の速いキャラクターとして能力が活かされている気がします。

 このあたりから、体力を回復する「月の石」が出てきます。以降、めちゃめちゃ傷ついたけど回復したからセーフ!めちゃめちゃ呪文使ったけど回復したからセーフ!連戦になるけど回復したからセーフ!みたいな展開になり、ちょっとね……。敵も味方も。

 

●リィエン&ウォンレイとナゾナゾ博士&キッドが合流

 町に戻っていた恵&ティオ、フォルゴレ&キャンチョメを千年前の魔物が襲うも、合流したメンバーにより撃退される。ビッグ・ボイン再登場。ナゾナゾ博士がブラゴ&シェリーに会った時の話。1日休んで、翌日全員で再度本拠地を攻略開始。

 

●チーム戦

 全員で一本道の階段を登っている際にゾフィスに襲撃を受け、散り散りに。話を進めるために仕方ないとはいえ、清麿がこんな愚策をとるとは思えないんだけどな……。ここはすべて敵1組に対して味方2組で共闘してボロボロに苦戦する戦いなので、あまり爽快感もない。

 恵&ティオとリィエン&ウォンレイは人間・魔物ともに格闘型の敵と対戦。恵&ティオがほぼ役に立たない。敵の人間が異常に強く、この世界の人間って鍛えれば単独で魔物倒せそうなくらいに強くなるんだなぁ……という世界観の危機が発生。ウォンレイがボロボロになるも、生存。死亡フラグは立っていますね……。

 フォルゴレ&キャンチョメとナゾナゾ博士&キッドはギャグ戦だけども、ナゾナゾ博士の過去が語られ、キッドの本が燃える。よかった点としては敵の人間(ダリア)がけっこうかわいい。魔物のほうは椅子に座っている巨大なベルギムE・O。ギャグパートは面白い。戦闘描写に関しては、もう味方側は人間も魔物も毎回ボロボロになってて見るに堪えない……。でぇじょうぶだ、月の石がある。

 清麿&ガッシュとサンビーム&ウマゴンの戦闘は比較的よい。やはり戦闘描写としては清麿が頭使ってる時が一番おもしろい。敵はファンネルみたいなのを使う強敵パムーン。以前清麿が好き勝手研究した石版から出てきた魔物だったというくだりが面白かったです。見た目もかっこいい。千年前の魔物編の舞台背景の根幹となっている「石のゴーレン」の回想戦闘シーンもあり。パムーンの最強呪文?に対してガッシュの最強呪文をぶつけたところで7巻は終わり。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、パティとベルギムE・O)

 今の魔界には遊園地がある、魔物の寿命は長くて1000年くらい(王様を除く)、といった情報が出てくる。同じ7歳同士であるが、パティがベルギムE・Oのママになる。

 

第8巻

 一つ一つの戦闘が!!長い!!新キャラのインフレ(敵も味方も)!!敵を強く登場させるせいで、相対的に清麿やガッシュがイマイチに見えてしまうのが残念な気がしました。第6巻から?始まって3巻使ったゾフィス編の戦闘もこの第8巻で終わり?っぽいので第9巻には期待……延長戦はしないでよ!

 

●パムーン戦終了、対ゾフィス劣勢のところをシェリー&ブラゴに交代

 最強呪文の撃ち合いをした結果、パムーンが改心して仲間に。しかし本拠地の屋上?に移動したところでゾフィスにあっさり奇襲され本が焼かれて退場。ゾフィスは何十体もの魔物を引き連れており、もう呪文が使えない清麿&ガッシュ・少しだけしか呪文が使えないサンビーム&ウマゴンはどう立ち向かうのか!?この展開、しばらく似たような形で続いているのでだいぶ食傷していますね……。そこにシェリー&ブラゴが(シェリーは前髪を食べながら……その髪型で前髪食べられますか?ちょっと盛りすぎ演出ですね……)登場、操られている人間達を安全な位置に弾き出したうえで、一撃でゾフィス以外の魔物を一掃。強すぎる……。味方側が強すぎる分には……いいよ!ゾフィスとの対決はシェリー&ブラゴに任せて、清麿達は月の石(本体)の処理に。そっちにはもっと強い敵がいるとのこと。

 

●パティ・ビョンコ戦、さらにレイラ戦(ついでに第2回人気投票発表)

 月の石のある部屋に続く階段を守るパティ・ビョンコと戦闘。清麿はもう呪文が(以下略)。フォルゴレ&キャンチョメ、ナゾナゾ博士が合流。味方になったと思われたレイラが再登場するも敵対。レイラはかわいくていいですね。レイラは再び石になる恐怖によって操られており、その洗脳を清麿が説得して解く。清麿が賢そうなシーンは好き。実際に石に戻ることはなかったものの、レイラに対する洗脳は深く、動けなくなってしまう。しかし現代のパートナーである(操られたままの)アルベールの涙によって回復。いいシーンですね。この時点までただのモブだったはずのアルベールですが、完全版第8巻の単行本表紙になっており、「あっ、こいつただのモブっぽいけど後で活躍しそうだな……」という若干の公式ネタバレを食らっていたのでした。

 しれっとパティ・ビョンコも敵対心を喪失しています。漏れ出ている月の石の光で味方は全回復、ようやく「もう呪文が……」ネタから解放されます(一時的に)。ギャグを挟みつつ月の石へ。戦闘がシリアスじゃない場面ではちょいちょいギャグが挟まれるのが作品のいいところですね。

 

●ヴァイル&デモルト戦

 超巨大な魔物デモルトがボス。本当にこいつ石のゴーレンに負けたんですか?近道を通って先に開戦していた恵&ティオ、リィエン&ウォンレイは開幕時点で戦闘不能。うーん。しばらくはキャンチョメが障害物に変身して匿う展開ですが、本当にそれで匿えるんでしょうか。流れ弾でキャンチョメ死なないでしょうか。序盤はレイラが活躍し、デモルトを尻尾つかんで投げ飛ばしますが、この怪力設定はどこから沸いてきたんでしょうか……。千年前の魔物同士は呪文を向けられないルールになっているのでレイラは月の石を攻撃。結局、しばらく戦力になるのは引き続きガッシュとウマゴンのみ。まったくダメージを与えられず、急所を狙った最強呪文も大して効かず。また月の石で回復する前のような状態に……。

 ここでウルル&パティ、アルヴィン&ビョンコが清麿側で参戦。二匹が存外に強い。窮地に追い込まれるも、とっさに断髪して裏をかいたパティが月の石を砕く(あの髪そんなすぐ切れる??でも面白いギミックだと思った)。ビョンコとパティは本が焼けてしまい、消える魔物はいい魔物と言わんばかりにヒロインのような顔をしてパティは退場するのでした。

 激情したヴァイルが最強呪文を唱えてデモルトがさらに強化。ティオとキャンチョメが時間を稼ぐ間にガッシュが新しい呪文を覚える。月の石が破壊されたことによって洗脳の解けたアルベールがレイラとコンビネーションを発揮し、ガッシュの新呪文を当てられる隙を作ったことで、デモルトを撃破。回復したウォンレイがダウンしてるデモルトへのトドメだけ担当。そんな出番の作り方でいいの!?

 

●シェリー&ブラゴ対ココ&ゾフィス

 ココちゃん新衣装かわいいね(2回目)。ゾフィスによって操られたココの言動により、シェリーはココを信じられなくなって心の力を失ってしまう。しかしブラゴからの𠮟咤を経て、ココのイヤリングを見てココの本心を感じ取るに至り、心の力を回復させ、ゾフィスを撃破。9巻ではシェリココてぇてぇを見られるんですよね!?ブラゴは当然強いし、シェリー本人も戦闘能力が異常に高くなってて笑えますけどよいですね。やられてるところは読んでて辛かったですけど、復活してからボコボコにするのは最高でした。っぱ強いキャラの無双を見たいんですわ~

 

●オマケ(ガッシュカフェ、ビョンコとペンダラム・ファルガ)

 ペンダラム・ファルガというのはパムーンの呪文。パムーンも登場するがいじめられる。パムーン虐。しかし最終的にはパムーンを囲んで大団円。めでたしめでたし。ほんとか?

 

第9巻

 

●ゾフィス戦終了

 無事に終わってよかった……。ゾフィスを詰めてココを元通りにする、レイラからの申し出でレイラの本を燃やす、それで精算終了。終わり方はよいですね!

 

●ナゾナゾ博士&キッドの回想

 キッドは退場してしまいましたが、ここで補充されるのは妥当な気がしますね。とはいえまあ……私はあまり興味がない組……。

 

●日常回

 清麿が日本に戻ってくるたびにやってるテスト対策の回。見た目がおかしい国語教師が登場。おかしすぎるので再登場しそうな気もする。

 

●グラブ&コーラルQ戦

 いわゆるデータ系の敵。最初こそギャグ路線だが結構苦戦する。ここまで来ると、こういう単独で戦っている魔物も割と強いですね。しかし、いくら残りの魔物が40人を下回ったとはいえ、元が100人だしそんなに戦闘経験の豊富な魔物ばかり残ってるのはおかしいような気もする……。まともに考察はしておりませんが!1人1勝だとしても残りは50人になってしまうわけで、ガッシュや味方の魔物が大量に敵を倒してることを考えると、他の魔物が妙に戦闘慣れしてたり呪文の数がやたら多いのはやや不自然を感じますね。そこで人数が足りなくなるから千年前の魔物編をやったんですね……。

 ゼオンが「魔界の建築物」を発見する。ここからまた新しい章に突入?と思ったけど、まだしばらくは日常寄り。

 

●恵VSスズメ

 恵の勝ちです。

 

●ジード&テッド登場

 テッドの見た目がカッコかわいくて気合入ってますね。組み合わせ全体がMr.ゴルド&ダニーと被ってる気もしますが……。

 

●エリー&アース戦

 また異様に強い敵が登場し、ガッシュだけだったら敗北しているところをテッドの助太刀で撤退まで追い込む。エリーは見た目が幼いが、口調や知識レベルが大人。また天才キャラかな?エリー&アースにとっては「建築物」=ファウードと同じくらい、ガッシュの最強呪文バオウ・ザケルガで出てくる「バオウ」が問題らしい。バオウの現状を確認して撤退したのち、敵になるのか味方になるのかわからないセリフを残す。

 ジード&テッドはどこかへ旅立っていく。

 

●サンビーム&ウマゴン対サウザー&カルディオ

 また異様に(略)。馬型の魔物対決。カルディオは冷気を操るが、戦闘の中でウマゴンが炎属性になる。成長しながらかろうじて引き分けて逃げおおせるという感じで、サウザー&カルディオは生存。次の大がかりな戦闘に向けて味方の強化と新キャラクターの仕込みという感じですかね。

 

●ファウードの話

 ナゾナゾ博士とビッグ・ボイン再登場。清麿の家に味方が集合してファウードの話をする、リィエン&ウォンレイまでいる。キャンチョメがファウードを見て何かに気付いたようだがまだ言わず。

 ゼオンが記憶の中からファウードのことを思い出す。

 

●カイル&レイン登場(東南アジア編)

 魔界時代のガッシュの友人だというレインから「自分の本を燃やしてくれ」という手紙を受けて東南アジアへ。レインは狼のような顔の二足歩行の魔物で、人間の姿にもなれる(唐突に出てきたわね、そのタイプ……)。レインは強力な魔物だが、パートナーのカイルが気弱すぎて戦いにならないそうな。そのカイルを救う話になるようだけど、9巻の時点ではよくわからず……。

 レインを仲間に入れようとしているロデュウという魔物の下っ端として、ルーパー&パピプリオが再登場。新呪文を披露するがあっけなく撃退される。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、スギナとコーラルQ)

 スギナという魔物は本編にまだ登場していない。でもどこかで見覚えがあるような気がする。本編で登場したあと大きく活躍するキャラなのかも?内容はほぼ無い。

 ↑指摘を頂き、訂正いたします。スギナは第1巻で登場した魔物でした!植物園で戦う魔物。登場していないのは私の記憶力だった。元の記述は残しておきます!

 

第10巻

 やや飽きの来ていたゾフィス編と比べると、なかなか面白くなってきた印象があります!  

 

●チータ&ロデュウ戦

 魔界の頃のガッシュがレインを助けたことがあったそうな。レインは呪文無しでも強く、呪文アリなら相当強い魔物。初期ガッシュなどと比べて考えると、王を決める戦いに参加した時点での魔物の能力差がずいぶんあるわけですが、それも面白みの一つなのかもしれませんね。

 レインの「悪いのか……正しいのか。だが、必要なんだ。」というのはイイですね~。レインが体を張ることで気弱なカイルにも心変わりが起き、強力な呪文で敵を撃退。ただしロデュウもパピプリオも本は無事。レインの本は当初の予定通り焼いてしまい、カイルの生活はカイル自身の行動に委ねられることに。レインが人間の姿になれる設定なんだったんですか?

 ロデュウの上にさらにリオウという魔物がおり、このリオウがファウードを出現させ、封印を解こうとしていることが判明。強い呪文を持つ魔物を集めているもよう。

 

●恵&ティオ対エル・シーバス&モモン

 オヨヨ。しばらくエロザル。ちょっと尺が長いかな……。でもシリアスじゃない戦闘は珍しいので気楽でよいですね。キレたティオの攻撃がモモンに当たると気分がよい。ティオに新呪文が2つ発生し、攻撃呪文のほうでモモンを仕留めますが、この呪文って次の出番あるんでしょうか……。もう片方は、本に現れているのに読めないという展開。モモンは本が焼けるわけではなく、ボコボコにされたのち魔物を察知する能力を買われてファウードの位置を探知する係に。

 

●日常回

 ハイキング。スズメがややシリアスになり清麿にお守りを渡す。ヒロインムーブではあるがもはや手遅れ。恵さんには勝てませんよ。

 

●ファウードへ

 謎の魔物から遠隔でリオウの「呪い」に関する情報を受ける。リィエンが呪いを受けており、ウォンレイはそのためにリオウに協力せざるを得ないという。エリーも呪われているがこちらは敵対の道をとる。

 味方が集結。ファウードの位置がニュージーランドだと判明し、アポロの自家用機で移動。そしてファウードが建物ではなく超巨大な魔物であることも判明。ファウード付近にてパラシュートで降下しようとするが迎撃され、散り散りになる。

 

●ベルン&キース、カーズ&ブザライ戦

 清麿とフォルゴレが遭遇。キースは以前戦ったバリーの宿敵とのこと。相手が戦闘慣れしており苦戦し、フォルゴレが重傷。それをかばうキャンチョメが新しく分身の呪文を身につけ、その活躍で撃退。ブザライの本は燃える。お互い呪文が撃てなくなってキースには撤退される。

 ついにキャンチョメが戦力として活躍。この戦闘では分身それぞれがずいぶん強力でしたが、今後もその扱いになるのかどうか……。

 

●ニコル&チェリッシュ戦

 恵とサンビームが遭遇。戦い慣れていない相手ということで倒せそうだったが、ウォンレイが二人を連れて逃げる。ニコルは呪われている。第10巻の表紙にもなってるし、ニコル&チェリッシュは味方かな~~~(表紙を判断素材にするな)。

 味方は再合流。ティオのサイフォジオで全員回復。回復役、便利ね……。もはや恵の心の力は回復用。

 

●アリシエ&リーヤ登場

 突然出てきて状況解説するマン。おそらうリオウの仲間を装って潜伏していた人物?清麿と会話する中で読者のために現状を整理してくれる便利な男!要するにブザライを倒してしまったことでファウードの封印を解くための呪文が不足することになり、呪いが解けなくなってしまった。代わりにガッシュの呪文を使えば封印を解くことができると思われるが、そうするとファウードが解き放たれて全世界が危機に。この選択を迫られてガッシュは苦悩するが、「まだ2日あるからそれまでは両取りの選択肢を探る」という結論を出す。この決断を歓迎し、アリシエ&リーヤが仲間に。ファウード復活後に魔界に送り返す方法を探るため、ファウードの体内へ。

 「仲間を救うか、世界を救うか」の2択で、安易に「両方救う!!それしかない!!」とか言い出す作品はツマンネーーーので嫌いなのですが、「時間ギリギリまで他の選択肢を探す」というのであればOKですね。根性論ではないしちゃんと代案を提示できている。欲を言えば「時間切れになったらどっちを選ぶか」まで言わせてたらなおよし。

 

●ファウード体内編(胃袋)

 まずはギャグ。自分で自分の名前が下品だと自覚している門番からナゾナゾタイム。そういえばナゾナゾ博士って大してナゾナゾしてなかった気がするわね……。割とギャグが面白いのだが、恵に下品な名前を言わせる展開を笑っていいのかいけないのかは私の中でも審議が発生。アイドルの尊厳!

 途中で第3回キャラクター人気投票の結果発表。恵とシェリーの順位が上がっている。わかってきているわね、当時の読者も!!引き続きウマゴン2位なのは……わからん……。テッドが初登場5位なのはまあ、何、”顔”だと思うわ。デザ秀。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、ゾフィスとロデュウ)

 悪役トークみたいな感じですが、今まで読んだところだとまだロデュウはリオウの子分のチンピラ程度の認識なので、散々巻数を割いたゾフィスと比べると小物の印象。ココ本人ではなく代用のロボットが出てくるところが丁寧。

 

第11巻

 微妙に清麿の顔が変わってきた気がする。目がデカくなったというか……。

 

●ファウードの体内(小腸、肝臓、心臓、背骨、ファウードを魔界に帰す装置)

 シスター&モモンの呪文がだいぶ活躍しています。特に、移動シーンはもっぱらウマゴンとモモンの組み合わせになりますね。動きを遅くする呪文もズルい。時間操作は主役レベルの能力ですよ!他にもモモンは魔物などの位置をやたら精度よく感知できる能力もあり、「ファウード編に必要だけど清麿達が持ってなかった技能まとめセット」みたいな便利キャラクターになってるわね。

 リィエンのために裏切っているウォンレイがずっと泣いています。ウォンレイは顔がいいですね。

 ファウード編は魔物VS魔物だけでなく、ファウードの内部構造やファウードそのものとの関わり合い(必ずしも戦闘ではない)があるため、展開に幅があってよい。千年前の魔物編はちょっと……魔物VS魔物ばっかりで飽きてて……。

 ただ、ファウード編を成り立たせている「呪い」のギミックに若干の違和感はあります。今まで清麿の周りで魔物による人殺しは描写がなかったのに、ここにきて魔物の一存で人間を殺せる、呪いをかけた魔物(リオウ)を倒しても呪いは解けない、呪いの解除条件はファウードの解放と、やや唐突かつ不自然な設定。呪いをかけられた人間はずいぶん苦しそうなので凶悪だし、しかし例のごとく「呪いでもうほとんど動けない」みたいな描写をされてから結構動けたりするし、呪いが解けたら解けたで一瞬で健康になるのも不思議な仕組みね。

 

●エリー&アース、カウザー&カルディオと合流

 ファウードを魔界に帰す装置にて遭遇、一時は戦闘になるも清麿が説得して仲間に。「気配を消して先に入ってきてました」という説明。ややガバ。

 この辺はひたすら清麿を活躍させるパート。清麿が作戦を考え、清麿が機械の操作を覚え、清麿がのちの作戦のための仕込みをしてくれます。主人公が天才で良かった~。連載を盛り上げるためなんだろうけど、「魔界に帰す装置には「ある機能」があるはずだ!」って連呼しまくるのは草。結局それはタイマーなわけなんだけども。

 

●ファウード起動

 呪いのタイムリミットがヤバくなり、封印解除のための頭数が足りない状態ながらもリオウは見切り発車で封印解除を実行。ファウードの鍵に対してリオウ陣営が最大呪文を同時に唱える。失敗かと思われたところに清麿達が合流してなんとか解除、呪いも解ける。呪われてた人たちが一瞬で健康になる。リィエンかわいいね。

 ファウード起動後もしばらく清麿達やリオウ陣営はファウードの頭のところにいるんだけど、振動とか傾きで落ちませんか???

 清麿が天才なので、90分ではなく5分生き延びればセーフということになる。ファウードから落下しても、落下地点の水面をカルディオが凍らせて、モモンが落下を遅くして、キャンチョメの分身で受け止めればOKという理屈。便利ね……。その後はウマゴンとカルディオで2匹分の馬キャラと、分身キャンチョメでファウードにまとわりつく。速ければ垂直にも登れるのか……そうか……。初登場時からそうだったけど、分身キャンチョメが本体キャンチョメと比べて異常に性能高いのは何なのかしら。テコ入れか?(テコ入れです)

 清麿が仕込んでいたのはファウードを海溝の上にワープさせる作戦。このとき清麿達もファウードにくっついてワープするんだけど、海溝に落とす気なら別に一緒にワープする必要なくない……?ファウード編は話のデカさの割に進行がスムーズで楽しいんだけど(比較対象:千年前の魔物編)、さすがに海溝に落として終わり!にはさせてもらえず、ファウードは泳ぐことが可能で、日本に向けて移動を開始する。

 

●バニキス&リオウ戦

 追いかけた清麿達が口からファウードに再突入し、清麿だけリオウに捕まる。リオウは魔界のいい家系の出身らしく、ファウードを仕込んであったり呪いが使えるだけでなく、呪文戦も強い。ここで「ファウードの栄養液」とかいう月の石に類する回復アイテムが出てきてちょっと萎え。清麿は自分の命を引き換えにリオウに打撃を与えるが、撃破には至らず。味方が助けに来てようやくリオウが撤退。清麿は死ぬが、ガッシュがどんどん叩いてたら心臓が動いたのでサイフォジオ(ティオの回復魔法)で復活。人間を何だと思っているんだ!人工呼吸にノリノリで髪をまとめ始める恵さんすき。この戦いでガッシュがさらに何かの力に目覚めたかのような描写がされる。

 一方リオウはファウードの回復液(栄養液とは違うの?)に浸かって回復。便利アイテムやめろ。

 

●リオウ対ゼオン

 清麿が命を捧げたガッシュ対リオウ戦は踏み台でしかなかった!ガッシュをファウードにおびきよせた(呪いのことを伝えた)のもゼオンでした、ファウードのコントロールは頂きますということで、ガッシュがあれだけ苦戦したリオウを中級呪文までしか使わずに撃破。ゼオンTUEEE。

 清麿の予定ではファウードはエネルギーが溜まり次第魔界に帰されて終わりでしたが、ゼオンはファウードを魔界に帰す装置を破壊するとのこと。ファウード編で今までやってきたことが無に帰しましたね!清麿は体力回復のためにファウードの栄養液があるという肝臓へ、エリーとサウザーは魔界に帰す装置を防衛に。以前、ファウードとバオウを並列して危険視していたアースいわく、ファウードを止めるにはガッシュのバオウが必要になるとのこと。

 元リオウ陣営の魔物はゼオンに従って、ファウードの力を入手。

 

●胃袋の門番再び

 ファウード復活によって足がついた門番が走って清麿達を追いかけてくる。壁によって分断されたウォンレイが単身引き受けるが、圧倒的に門番のほうが強い。ここまでかと思われたところで、壁の向こうからリィエンが呪文でサポート。予想できる展開ではありましたが、リィエン&ウォンレイいいよね。いい……。ということで11巻終わり。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、ロップスとリーヤとウマゴン)

 文字表を使ってウマゴンがサンビームに名前を名乗る。いい話……らしい。私はあまり人気投票ほどウマゴンに思い入れておらず……。

 

第12巻

 ファウード編の延長戦。戦闘ばかりで本筋の話が進まない巻ではあるのですが、その代わりに終盤突入という感じで、味方の中堅キャラ達の人間界での物語の終わりを描く話が多くて面白かったですね。

 

●リィエン&ウォンレイ対胃袋の門番

 壁を挟んでいて視界を共有できないけど、心が繋がってるから適切に指示が出せる!とかそんなやつ。相変わらず便利に使われるサイフォジオ(回復呪文)には草。勝ったと思われたが、門番の自爆によって全員が危機に。このあたりから「魔物の死を回避するために、わざと本を燃やして魔界に帰す」という手法が出てくる。ウォンレイは最後に謎の力を発揮してリィエン達をかばい、消えていく。

 ウォンレイの退場回としてかなりいい感じにまとまった印象です。「いい魔物」であるゆえに死亡フラグが常に匂っているようなキャラクターでしたが、ここまで生き延びたのは……人気か!?しいて言えば対戦相手が下ネタ担当だったのが不憫ですかね……。

 

●ファウードが高速移動開始

 清麿達が再合流したり、ファウードが泳ぎからダッシュに切り替わったりして、この時点での話のまとめが行われる感じ。清麿は回復液に漬けられているが意識不明。だが謎のテレパシーでガッシュに語りかける。何その力。

 ファウードの力で生成されたザコ敵と戦う道中、二度と使う機会がなさそうと危惧していたティオの攻撃魔法が使われる。出番を作るのが上手。エリー組とサウザー組はファウードを魔界に帰す装置の部屋に到達、他はファウードの脳へと続く部屋の1階に。

 

●1階、ザルチム・炎のファンゴ戦

 味方からはサンビーム&ウマゴンとアリシエ&リーヤ。他の味方はエレベーターの中に閉じ込められているという設定。味方を分断するアイデアが豊富ですねえ~。

 敵の強力さに追い込まれたアリシエは狂戦士となり自身も戦闘に参加。ファンゴはファウードの力を受け入れて強力になっているが、代わりに性格が変わってしまっている。一方でザルチムは力を受け入れておらず、ファンゴとのチームワークが不調。その隙を突いてザルチムとファンゴを撃破するが、アリシエをかばったリーヤもまた本が燃えてしまう。

 熱戦ではありますが、敵も味方もこれまでの描写が少なかったりして印象の薄いキャラなので、あまり盛り上がらないというのが正直な感想。特にザルチムはかなり心情を描写されており、散り際にはリオウとの間に友情を感じていたような内容も描かれますが、別に……その二人に特に思い入れはないですよ!?とはいえ、こうやって戦いのルールをたくみに活かし、チョイ役の魔物にもおいしい散り際ストーリーを演出できるのは作品のうまいところですね。

 

●2階、ギャロン・チェリッシュ戦

 ファウードの移動時間から逆算すれば1つの戦闘に長く時間はかけられないが、2階には大量の扉があり、その中から正解を探さないといけない。敵の片方のチェリッシュは以前テッドが探していたという魔物であり、本来は善良だが、ゼオンの拷問呪文による痛みの記憶を弱みに握られてギャロンから見張られており、ガッシュ達を襲う。正解の扉も探さなければならないので、全員がギャロンとチェリッシュを相手するわけにもいかない……味方を分断するアイデアが(略)。

 一方、ファウードの肛門から逃げようとしていたルーパー&パピプリオのところに、ファウード外部からアポロの飛行機でジード&テッドが到着。ずいぶん都合のいい登場ではありますが、ここからの展開に必要なので仕方ないでしょう。あとで他にも外から来るし……。テッド達はパピプリオ達に案内させて、ガッシュ達に合流。

 そんなわけで完全にテッドの見せ場です。昔の女チェリッシュが泣きながら攻撃してくる!しかしそれも意に介さず戦い続ける男気!みたいな。しかもテッドはずいぶん強く、ファウードの力を得ているギャロンを相手に単独で渡り合います。戦いの中でチェリッシュも昔の強さを取り戻し、痛みの記憶に耐えながらガッシュ達に正解の扉の位置を教え、これによって2階が突破可能になります。

 ギャロンの最強呪文をあえて打ち消さず、ギャロン本体に最強呪文を当てて撃破したテッドは瀕死でしたが、ティオの回復呪文が間に合って(←これは草)なんとか生き長らえます。しかし本は燃えてしまっており、チェリッシュに抱かれながら魔界へ帰還。その際にチェリッシュのパートナー・ニコルにつっかかりますが、ニコルは男装している女性だったのでした(このオチ要る?)(要るでしょ)。

 登場した時からテッドのルックスがかっこよく、話もかっこよく退場していきましたね。人気投票上位なのに退場しちゃっていいのかな!?死んでないから後で魔界編で出てくるからセーフ(魔界編ありますか?)。パートナーのジードがブサイクで無職なのが難点ですかね……(面食い)。このあとジードだけ残っても役割がなくて困りそうだけど(現にウォンレイがいなくなったあとのリィエンは出番がなくなっている……)、ひとまずはバイクを持ってるから移動役で出番があるかな?

 

●3階、キース戦

 もともと強かったが、ファウードの力を得てさらに強くなったキース戦。キースは元が強いのでファウードの力を受け入れてもそんなには性格が変わっていない……らしい。キースからの攻撃は通すがガッシュ達の攻撃は一切通さない壁(そんな都合いいものある?あるみたいですね……)に阻まれガッシュ達が万策尽きていると、またファウードの外部から今度はヘリで増援が到着。まずシェリー&ブラゴが呪文でファウードを転ばせ、そのあとグスタフ&バリーが呪文で飛行、ファウードの首に穴を開けて都合良くキースの部屋、ガッシュ達が通れない壁の向こうに出現。

 バリーとキースは魔界時代のライバルという前振りがあり、読者としても待望の一戦。しかし思いがけずバリーが圧倒的な成長を遂げており、ファウードの力を得たキースをも軽々と圧倒する展開に。このバリーの強さを印象付ける演出がたいへん巧みで、めちゃめちゃ気持ちいいですね……。バリーが力をつけた一因は、魔界で「神童」と呼ばれていたという魔物のうち一体、エルザドルと戦って勝ったからだそうな。

 ファウードの力をさらに吸収したキースにもバリーは臆すことなく戦い、勝利。しかしキースは最後の悪あがきとして、今までガッシュ達を阻んでいた壁を今度は破壊光線に切り替えて、ガッシュ達のほうを始末しようとする。本当に都合いい壁だね……。窮地に立ったガッシュは、バリーに打倒ゼオンを託したうえで、自分の体で破壊光線を受けて隙間を作り、他の仲間を破壊光線の向こうに通していく。それを見たバリーは一度は上階に向かおうとするも、結局はガッシュの代わりに自らが破壊光線を受けることを選び、ガッシュのことは殴って破壊光線から救い出す。そして全員が破壊光線を通過後、仲間に本を燃やしてもらい、死ぬ前にバリーは魔界へと帰還する。バリーは王にはなれなかったが、王をも殴れる男になったのであった……。

 という話で、私はめちゃくちゃ気に入ったエピソードですね。やっぱ強いキャラが好きだな……。バリー、めちゃくちゃ強くてよかった。読者の見てないところで苦労してめちゃくちゃ強くなって再登場するキャラクターは最高!苦労は見たくない!パートナーのグスタフも余計なことは何も言わない強キャラでしたね。グスタフは初登場時からバリーを育てることが目的かのような振る舞いをする謎の人物でしたが、こういう普通に仕事や家族がありそうな高年齢のパートナーって、何を求めて戦いに参加してるんでしょうか……。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、バリーとエルザドル)

 本編ではバリーの回想にのみ登場したエルザドルが出演。ちなみにキースが語った「竜族の2体の神童」のもう片方はアシュロン。バリーに敗北したエルザドルはバリーのことを嫌っているのか?という話で、エルザドルは唯一本気で戦えるアシュロンのことを親友だと思っており、同じくバリーのことも友達だと告げる。いい話じゃんよ……。

 

第13巻

 第12巻に引き続き延々とファウードですが、第13巻はちょっと展開がワンパターンでイマイチかも……。覚醒清麿の活躍を目立たせるために味方が全員踏み台になりますが、よりによって大して前振りのないロデュウに全員がやられるので、いまいちすっきりしませんね。相手はゼオンでよかったのでは?散々引っ張ったゼオンの正体も、ガッシュの双子の兄でしたということで公開されます。普通ですね……。

 

●心臓の体内魔物戦

 ファウードを魔界に帰す装置が生きていれば、ゼオンを倒せずとも、日本に到着する前にファウードを魔界に帰せる計算。じゃあゼオンにそんなに人数割かずに、みんなで魔界に帰す装置に向かったほうが良かったのでは……?

 以前登場するも、起動前のファウードの心臓を動かしていたため戦闘にはならなかった、心臓の魔物との戦闘。味方陣営はエリー&アースとサウザー&カルディオ。それぞれでは強いんだけど、コンビネーションが悪くて勝てないみたいな話。熱戦ではある、しかし登場キャラに思い入れが……のパターン。エリー&アースは割と好きなんですけど、いかんせん変な鳴き声しか出せないタイプの魔物が面白くなく……。パルパルモーンてなに(カルディオの鳴き声)。

 結局、装置を守り切ることはできず、そのうえカルディオも犠牲にして何とか撃破。カルディオの冷気を全開にして、カルディオ自身も凍えてしまうけど、死ぬ前に本を焼いて魔界に帰すパターン。強くて回復能力もある敵が凍結であっさり砕け散るやつ。自爆特攻は嫌いじゃないですね。

 装置は一応、修理は可能ということですが(誰がやるの?)、ファウードの日本到着には間に合わないので、ゼオンを倒さなきゃいけないという展開ですね。

 

●ロデュウ、ジェデュン戦

 また都合よく配置されていた回復液に浸けられて回復中の清麿と、魔物がもういないのでそれを見守っているアリシエとリィエンを除いたメンバーは、ファウードの脳のコントロールセンターに到達。ゼオンがいるけど、その前にロデュウとジェデュンと対戦。ジェデュンっていうのはほぼ初出?変な鳴き声タイプの魔物かと思いきや、普通に喋れることが魔界へ帰り際に判明する謎の魔物です。ジェデュンは全く前振りのないキャラだし特にヘイトも集めてないので、メインの敵はロデュウっぽい雰囲気。

 キャンチョメ、ティオ、ウマゴンがそれぞれ活躍し、ロデュウに直撃を当てたりするのですが、展開上まったく無意味。活躍してるっぽく見えるけど、成果が何もないっていうのはちょっと読んでて面白くないわね……。髪が乱れたキャンチョメが気持ち悪い問題ある。ティオの攻撃魔法はなんと三度目の登場、しっかり出番を考えられていてすごいんだけど、クリーンヒットしてるのに無意味なのがなんともね。それもロデュウ相手、なんか……そこまで強い相手か?という印象。せめてロデュウは撃破してもよかったのでは?ジェデュンが残るわけだし。そしてキャンチョメ、ティオ、ウマゴンの三体は、呪文を受け付けないという柱の中に閉じ込められます。

 そのあとは、清麿の鼓動を察したモモンが時間稼ぎに活躍。元々喋る能力はあったとはいえ、あまり喋らなかったモモンがベラベラ喋り始めるので多少違和感はある。ここも結局、敵の魔物を倒すわけではありませんが、モモンの覚醒と魔界への帰還エピソードになるので、ほぼ無意味なあがきに終わった前の3体よりは読み応えがありました。清麿の復活がアナウンスされて、ようやく事態の好転が近づいたから気が楽なのかも……。修道服の頭が破れて髪が出たシスターもかわいいですね。清麿の登場までギリギリ粘って、モモンは本が燃えて魔界へ帰還。

 

●清麿復活

 復活した清麿は呪文の威力が大きく上昇しており、ロデュウとジェデュンを圧倒します。この演出のためだけにキャンチョメとティオとウマゴンは犠牲になったなあ……。それだけならまだしも、ロデュウに対する追撃を清麿の顔芸でギャグ尺にしており、なんとも……味方の活躍が報われませんね。ジェデュンは魔界に帰りましたが、よりによってロデュウはその描写がなく、これだけやってもまだ何か出番が残っているようです。”都合”を感じる……。ロデュウのパートナー、半仮面の女性チータも何かしらエピソードをもらうのかもしれませんね。腑に落ちぬ。

 

●ゼオン戦

 ここまで清麿とガッシュが成長しているにも関わらず、ゼオンとの戦いはゼオン有利。ガッシュと清麿は攻撃を避けるのに精一杯というところ。ゼオンは散々強キャラ前振りがあったのでこれは妥当。そしてゼオンとガッシュの関係性が語られます。双子……さんざん引っ張って双子か……定番ですね。さらに二人の父親が今の魔界の王であることも判明。結局は血筋ゲーやんけ!!出来レースか!!いわくガッシュはバオウを伝授されたうえで遠くの学校に通い悠々と暮らし、その一方でゼオンはスパルタ教育を受けており、この待遇の差からゼオンはガッシュに対して強い憎しみを持っているそうな。ゼオンが強いのも納得な一方、それにしてはガッシュもこの短期間でずいぶん追いついたな……という感じ。

 そして突然「答えを出す者」(アンサー・トーカー)という専門用語が出てきます。これはまあ……ガンダムで言うところのニュータイプで……ゼオンのパートナーであるデュフォーがこの能力者だそうです。一度生き返った清麿もこの素質を開花させつつあり、戦闘の展開を予測できるそうな。第13巻ではまだ語られてないけど、そうなるとアポロが持っていた能力もこれだったのかな?それにしてもアンサートーカーて……いまいち響きがかっこよくない気がする……。

 そんなわけでデュフォーも戦闘に参加すると、いっそう戦闘は一方的になり、追い詰められた清麿は恐ろしい予感を覚えつつも、ゼオンに煽られるままバオウ・ザケルガを詠唱。ゼオンはバオウを自分の力で打ち破りたい考え。そうして現れたバオウは以前よりもはるかに危険な存在になっており、対するゼオンはジガディラス・ウル・ザケルガという、おそらく強力な呪文を唱え、二つの呪文が向き合っているところで第13巻は終わり。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、モモンとアース)

 モモンが盗んだ女性下着を並べながら好き放題言って、シスターおよびエリーにボコボコにされる。そしてアースを女性下着で誘惑し、アースもそれに乗りかけるが、その気の迷いをエリーに見抜かれて死ぬ。アースの株を下げただけかもしれない……。

 

第14巻

 第14巻は面白かった!話が大きく動くし、今までの(時にイマイチな)前振りをごっそり回収していくので。魅力的なキャラクターの活躍も多い。

 

●バオウ対ジガディラス

 前巻から続いて最強呪文同士の怪獣対決。覚醒したバオウを唱えたガッシュは、バオウに飲まれて徐々に黒くなっていってしまう。それを目撃し、さらに(以前奪った?)ガッシュの記憶を見たゼオンは、バオウをゼオンに託さなかった父の意図を察し始める。清麿の声でかろうじて踏みとどまったガッシュとバオウの隙をついて、ジガディラスがバオウを撃破。

 

●パピプリオとチェリッシュが助けに来る

 ガッシュが戦闘不能になり、パピプリオが煙幕で援護(パピプリオはジードによって、パートナーのルーパーを人質に取られている)。そして新しく狙撃の能力を開花させたチェリッシュがゼオンを攻撃して足止め。ここのパートナーとツーマンセルでの狙撃描写かっこいいですね……。

 チェリッシュの狙撃はゼオンやデュフォーに有効打を与えることはありませんが、キャンチョメ・ティオ・ウマゴンが囚われている柱の解除スイッチを押してゆき解放。チェリッシュの本は燃えてここで退場。

 

●ティオの新呪文

 回復液も飲めない状態のガッシュを回復するべく、解放されたティオに例のごとくサイフォジオさせるが回復は間に合わず。ゼオンが再びジガディラスを唱え、全員が絶体絶命となった時、仲間が傷つくことに対する抵抗感が高まったティオは以前現れていた新呪文(チャージル・セシルドン)が使えるようになる。これは受けた攻撃のぶん強くなる攻撃呪文(チャージル・サイフォドン)の対となる、仲間が傷つくほど強くなる防御呪文で、もともとティオは防御のほうが特性にあっているため更に強力とのこと。デュフォーの心の力が消耗していたこともあり?ジガディラスを受けきる。

 ガッシュのバオウと同等のパワーがありそうなジガディラスを、ティオの呪文で受けきるという熱い展開ですね!ティオ対モモンの時にチャージル・サイフォドンを含む新呪文を2つ習得し、それ以来ずっと匂わせてきたもう片方の呪文ですが、その時点でこの展開を仕込んでいたわけですね。チャージル・サイフォドンのほうも3回は出番ありつつ、ギャグだったり(モモン戦)、ザコ散らしだったり(ファウード体内)、せっかく当たったのに無駄だったり(ロデュウ戦)というさほど大きな活躍ではありませんでしたが、それも「ティオが本来得意としているのは攻撃ではない」という前振りとして機能しているわけですね。(いや、それでもロデュウ戦はさあ……。)やっぱ恵&ティオなんですわ(ひいき)。ただなんか、恵とティオは目が縦に長くなってきたわね……。

 ちなみにデュフォーは、心の力が尽きたから回復するといって少しの時間で全回復します。おそらくこのあと語られる、デュフォーの心の力の源が憎しみであることに起因するのですが、まあズルですね……。それができたら回復液いらないね……。

 

●ロデュウ対ゼオン

 要らん……。

 倒れていたロデュウが復活し、清麿達に襲いかかってくると思いきや、ゼオンに反逆するというもの。ファウードの力を得てしまっているので、反逆するとロデュウ自身が命を落とすという設定。パートナーのチータとのエピソードの回想が流れつつ、死を避けるためにパピプリオに本を燃やしてもらいながらゼオンに対して最大呪文を放って退場します。

 これをやりたかったためだけに微妙になった展開が多すぎる!チータも初登場はそれなりに前で、当初から意味ありげな仮面と言動をチラつかせてはいましたが、それでもここで突然キャラ設定を一気に出されても思い入れは沸かず……。ロデュウに対してもいまいち悪役としての格を感じておらず……。

 デュフォーの心の力が回復するまでの尺稼ぎ、およびゼオンにとってロデュウに反逆されたことが「自分のやり方は間違っていたのかも」と考える一因になっている、というのがここの意義ですかね。

 

●再びガッシュ対ゼオン

 2回目のサイフォジオを受けてもガッシュはすぐには目覚めないが、ガッシュが立ち上がるのをゼオンが待つ。ゼオンのほうに心変わりが発生しているという描写で、ゼオン自身その心変わりの答えを突き止めるために再びジガディラスとバオウの対決を求めています。

 バオウは本来はガッシュの父親(現魔界の王)が生み出し、「大切な者達を傷つける力」といった憎むべき力を食べていたそうですが、父親のコントロールを離れて、今まで食べて取り込んだ悪者の怒りや憎しみが暴れているというような話のようです。それを理解したガッシュが、バオウのコントロールを取り戻し始めます。

 ここでデュフォーの背景が語られます。幼くして異常な知能を持つ異能力に目覚め、なんらかの研究機関に売られ、そこで憎しみを募らせ、最後は処分されそうになったところをゼオンのパートナーとして救われる。このためアンサー・トーカー(笑)の能力と強い心の力(憎しみ)を両立しているわけですね。

 この強大な心の力がジガディラスに乗って襲いかかりますが、ガッシュはそれを受け入れ?包み込み?撃破。デュフォーはそこに愛を感じていたことが後日談としてのちに語られます。デュフォーの涙を見て微笑み、敗北を悟ったゼオンはバオウの直撃からデュフォーを逃がします。

 「ガッシュはバオウを引き継いで楽な暮らしをし、自分は厳しい生活を強いられていた」というゼオンの誤解は解け、ゼオンは「兄が愚かだった」と謝罪。ガッシュの父親も善良で、魔界を守るための苦渋の選択としてバオウを目覚めさせない可能性があるガッシュにバオウを引き継がせ、誰にも見つからないように遠くに追いやったという回想が語られます。ガッシュとゼオンの関係は正常化し、奪われていた記憶もすべてガッシュに返されます。ゼオンの本は燃えてしまったので魔界へ。

 ゼオンとデュフォーは最初から強く、カッケく、最後は味方側に来るという王道の展開を完全にやりきりましたね!なんならラスボス臭まで出していたゼオンが、終盤とはいえここで退場というのは驚き。この格のキャラクターをここで使える(まだラスボスを張れるキャラが別にいる)というのは仕込みのうまさを感じますね(もちろん、このあとラスボス戦がうまくまとまれば、ですが……)。

 

●ファウード編の決着

 ゼオンの所持していたコントロールキーが破損したため、ファウードが暴走。魔界に帰す装置はアースが修理中。デュフォーと清麿がファウードのシステムにアクセスし、ファウード内の人間を移動装置へ誘導。外ではシェリー&ブラゴが時間稼ぎ。全員が外に出たあと、ゼオンから一度限りの力を預かったガッシュが巨大なバオウを唱え、ファウードを行動不能に。そののち魔界に帰す装置が作動して、事態は収束。

 リオウが敵役の頃から長く続いたファウード編ですが、見所が結構あったので間延びした印象はあまりありませんでした。ところどころ「そのキャラの話は別に盛り上がらないかな……」というところはあったり、「魔界に帰す装置」に名前つけておいたほうがよかったんじゃ……ていうかこれ要らんかったな……みたいなところはありましたけど、全体的には良かった印象です。

 

●日常回

 清麿が進級。中3……中3!?!?担任の先生が眼鏡を外してキャラクターが変わりますが、この設定が今後また活きるのかどうかは不明。

 清麿の「答えを出す者」(アンサー・トーカー)(笑)の能力は、便利すぎると判断されたのか、清麿がアホな夢を見たことで能力が消去されます。パワプロのサクセスモードのバッドイベントみたいですね……。

 ゼオンが残していった手紙から、ガッシュのマント(服)は自由に伸ばしたりできることが判明。

 

●リーン&アシュロン戦

 唐突にリーン&アシュロンが清麿宅を訪れる。正々堂々と対戦を挑んでくるタイプ。アシュロンは竜族の神童二人のうち片方(もう片方はバリーと戦ったエルザドル)として名前が既に出ているので、強敵であることがわかりますね。

 そしてアシュロンは、ガッシュを倒しに来たのではなく、バオウの使い手が善か悪か確かめに来ただけとのこと。そのため、すぐに戦闘終了。現時点ではガッシュよりもアシュロンのほうが強そうな雰囲気。

 

●魔物が残り10名に

 残る魔物が10名になったことから、本に新しい記述が発生し、追加のルールが判明。魔界は現在、本が燃えて帰った魔物も含めて、すべての魔物が魂だけの存在になっており、新しく魔界の王様になった魔物が、それぞれの魂に肉体を与えるかそのまま消してしまうかを選べるとのこと。好きな魔物だけ残し、嫌いな魔物は滅ぼすことができるということのようです。アシュロンが言うには魔界を滅ぼそうとしている魔物がいるらしく、その魔物が王様になった場合はすべての魔物の魂が消されてしまうということですね。

 ここまでは本が燃えても魔界に帰るだけという前提でやっていましたが、ここに来て前提が覆りました。本が燃えて魔界に帰った魔物は平和に暮らしているのではなく、肉体を失って魂だけになっているし、王様になった魔物によってはそのまま存在を消されてしまいます。特にガッシュと清麿にとっては失いたくない魔物が多いわけですので、緊迫感が一気に高まりますね。読者からすれば、今までの感動シーンが人質に取られるような感じもあります。まあ……どうせガッシュが王様になるんだろうとはいえ……現時点では、無用に焦らされるだけであまり気持ちよくはないかな?

 残りの魔物が10名ということで、もうほぼ特定できそうです。ガッシュ、ティオ、キャンチョメ、ウマゴン、ブラゴ、アース、パピプリオ、アシュロン、「魔界を滅ぼそうとしている魔物」、このあとアースと戦うゴーム。これで10名ですね。ただ、正規に戦いに参加していない魔物だとか、なんだかんだで増えそうな気はします。あとパピプリオがあっさり倒されていた場合、敵側の魔物が一匹増えますね。

 

●ミール&ゴーム戦

 エリー&アースが襲われます。エリーとアースの過去が語られ、エリーは重病を抱えていることが判明します。創作特有の、死ぬ直前までは症状のない謎の難病!!HPが0にならない限りはHP1でもHP100でも性能が変わらないゲームのキャラのようですね。それで、生きる気力を失っていたエリーに対し、オレっ娘エリーと侍従者アースというなりきりをアースが提案し、今まで続けていたということが判明します。見られますか!?オレっ娘が本来の一人称「私」に戻るシーン!?アースのほうは本来の一人称「オレ」に一瞬戻りましたね。

 敵のゴームは、「魔界を滅ぼそうとしている魔物」の仲間らしい。それを聞いて、症状が出てきて命が危ういながらも、エリーはアースと共に立ち向かうことを決意。ここで第14巻が終了。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、テッドとチェリッシュ)

 完璧な組み合わせでテッドの株を上げていく~。テッドの子供の頃の話ですね。この描き下ろしはファン嬉しかったのでは……。テッド完結という感じ。

 

第15巻

 さて、ラスボスは誰なのかな~という巻。しかし第15巻を含めてあと2巻で完結、ラスボス本戦は次の第16巻だけ……話の回収とかは間に合うんですか!?

 

●ミール&ゴーム戦の続き

 あっさりアースは負けて魔界へ。新ルールが判明したため、今までとは魔界に帰る悲壮感がやや違いますね。アースは結構強い感じの描写されてた気がするのに、ポッと出の魔物にあっさり倒されちゃったなぁ……という印象。

 エリーは病院に辿り着いて生き残り、清麿が見舞いに来る。ゴームが空間転移してくるのは、呪文ではなくてゴーム自身の能力とのこと。それはズルですね……。清麿はアシュロンとも会い、ラスボス?の名前が「クリア・ノート」であることが判明。

 

●ヴィノー&クリア・ノート戦

 名前が判明してすぐに、シェリー&ブラゴのところにクリア・ノートが出現。全身の色が白く、頭髪が爆発してるタンクトップとジーンズ姿の青年……魔物っぽくない。パートナーは赤子のヴィノー。エリーやサウザーも魔物のパートナーとしては幼かったし、ここで赤子が出てきてもいまいちインパクトに欠けるというか、ありがち……という感じ。

 ブラゴが圧倒される。途中で新呪文が目覚めるも有効打にはならず。ついにブラゴまでもが敵の強キャラ演出の踏み台になってしまった……。飛行してきたアシュロンが間に合い、かろうじて敗北は免れる。ここからアシュロン対クリアに移行。

 クリアの攻撃は異常に強力だけど、アシュロンの竜の鱗は強固なので弱い呪文ならほとんど効かない。かっこいいですね~。しばらく互角のような戦いをしますが、クリアのほうが更に強く、本気を出し始めて再び劣勢。

 クリアが出自を語り始める。悠長ですね……。ガッシュがクリアのあり方に反論しますが、こういう時って主人公側の言い分が感情論なので、敵側のほうが納得できてしまいがち。とはいえ清麿のアンサー・トーカー(笑)の能力が一時的に復活し、なぜかガッシュもパワーアップして何とかクリアと渡り合える状態になる。「滅ぼし」が必要だ…(クリアのセリフ)。バオウを出すもむなしく、クリアの呪文に敗北。

 アシュロンが自分の動かなくなった腕を切り落として最後の賭けに出る。いわくガッシュが王になって新しい肉体を与えてくれればいいとのこと。大丈夫だ、死んだやつはドラゴンボールで生き返る。実は切り落とした腕はブラゴ達を守るための盾として使用しており、死んだと思わせた隙をついてブラゴの呪文でクリアを拘束。アシュロンが角で突撃し、クリアに大打撃を与える。クリアはゴームを呼び寄せて逃げおおせるが、失った体組織も多く、回復に時間がかかる。10ヶ月後の再戦が決まり、ひとまず初戦は終了。アシュロンは本が燃えてしまっており、魔界へ。

 

●特訓編

 ガッシュ、キャンチョメ、ティオ、ウマゴン、ブラゴが清麿宅に集まって作戦会議。デュフォーが現れて自主的に参加し、パートナーを含めて全員の特訓を申し出る。アンサー・トーカー(笑)の能力があるので強くなる方法がわかるらしい。なんて便利なキャラクターなんだ……。魔物達それぞれの後頭部にデュフォーが指をズブゥゥゥして潜在能力を引き出す的なことをする。演出の意図はわかるけどなぜ素手でズブゥゥゥできるんだ……。

 まずキャンチョメが才能を開花させて強くなり、ガッシュとの練習試合で勝つほどになる(どういう戦闘を行ったかの描写はなし)。デュフォーに危惧された通り、強い力を得たキャンチョメは増長し始める。

 

●キャンチョメ対ゴーム

 イタリアに戻ったフォルゴレ&キャンチョメは、いつの間にか子供タレントとして成功していたパピプリオと、そのパートナーのルーパーと遭遇する。いわく、戦いを避けて核シェルターに入るためのお金をためるべくショーをしているらしい。

 キャンチョメとパピプリオは友達になるが、パピプリオが単独で行動している時に運悪くゴームに襲われてしまう。かろうじてルーパーが合流するが、戦闘はまるで歯が立たない。命を張ってパピプリオを守ろうとするルーパーの過去が語られる。パピプリオとルーパーにまさかここまで出番が続くとは思いませんでしたが、これだけ前振りがあるキャラだと、お別れ演出もなかなか熱いですね!あやうくルーパーが死ぬかと思われたところでフォルゴレ&キャンチョメが合流して交代。

 キャンチョメは、相手の脳に影響を与える3つの新呪文を使ってミール&ゴームを圧倒。しかし増長したキャンチョメは相手をただ倒すだけでなく、いたぶり始める。そこでフォルゴレは体を張ってキャンチョメを制止。フォルゴレは昔は「バカなライオン」であり、その生き方を悔い改めて「カバさん」になったと説明、キャンチョメは説得される。

 キャンチョメは再び幻を見せる呪文を使用し、今度は楽園を見せ、ゴームに対して友達になろうと呼びかける。しかしその隙をついて、一時的に目を覚ましたクリアがキャンチョメとパピプリオの本を狙撃、二人は魔界へ帰されてしまう。

 フォルゴレもルーパーもいい話だっただけに、さっさとゴームの本を燃やせばいいものを、悠長にしているから燃やし損ね、更にキャンチョメとパピプリオが一度に倒されてしまうという展開は残念に思いますね。敵にせよ味方にせよ、「さっさとやれよ!」と思ってしまう展開は苦手ですね……。加えて、「ヴィノー(クリアのパートナー)の視界さえあればどこからでも本を狙撃できる能力」はさすがにズルでは?ヴィノーどこから来たの?ただ、ゴームを取り逃した件については、この第15巻のうちにちゃんと回収され、ゴームは無事に魔界に帰されるため、読み進めたら解決しました。キャンチョメは「呪文を唱えたら勝ち」くらいに強くなりすぎたし、パピプリオももうさすがに十分な出番をもらったよね……と考えれば、物語的に二人の離脱は妥当とは思います。物語的にはね……。

 

●ガッシュとティオ

 順調に特訓で強くなるガッシュと、クリア戦に不安を感じているティオ。ティオはガッシュに励まされ、「じゃあまた明日」と別れます。これフリですか?明日が来ないやつ?

 

●ゴームがクリアを裏切る

 「友達になろう」とキャンチョメに言われて嬉しかったゴームは、クリアとゴーム以外すべての魔物を消す(その後クリア自身も自害するため、残る魔物はゴームだけになる)というクリアに反発を覚え始める。パートナーのミールはそんなゴームに、「でかすぎる悪にからまれちまった時点でお前の運は尽きてるんだよ」などと説教します。これは本当にそうですね……。おそらくミール自身も過去に同じような経験があったようです。例のごとく、作中での積み重ねがあまりない新登場キャラなので、そんなに重みは感じられないですが……。

 それなりの尺を割いて説教シーンをやったと思いきや、続くシーンではガッシュと清麿の前に、クリアに倒されて消える直前のゴームが出現。ミールはなんだかんだでゴームの意見にほだされたようで、クリアに刃向かってこうなったようです。しかし悪あがきとして、クリアとヴィノーをアメリカのロッキー山脈に置き去りにしたとのこと。これでゴームの力を使ったクリアの神出鬼没さと、回復するための10ヶ月の間はずっと手の出せない領域にいる問題は解決したというわけですね。キャンチョメが悠長なことをしていたせいでゴームは取り逃していましたが、その悠長さは巡り巡ってよい方向に働いたという展開です。これならそこそこ納得できますね。ところでクリアはいいとして、赤子のヴィノーは山脈に置き去りにされて生き延びられるのでしょうか……。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、ゼオンとクリア)

 ゼオンとクリアが会話するという形式で、クリアの存在を少し掘り下げている回。おそらくオマケのページは文庫版が出る際に新録されたのではないかと思いますが、第15巻の巻末にこれを挿入するのはなかなか絶妙なタイミングですね~!

第16巻

 最終巻!残り1巻でちゃんと終わるのか疑問でしたが、最終戦の流れもよく、後日談も十分な長さがあり、とてもよかったですね……。

 

●クリア戦へ出発

 日本からは清麿&ガッシュと恵&ティオが飛行機で出発。もうこんなに人数が少なく……。前巻で「それアリ?」と思われたクリアの超長距離攻撃が設定としてしっかり活きており、接近すらままならない状態。ただやみくもに突撃するのではなく、デュフォーと清麿がちゃんと作戦を練っている描写がいいですね。

 日本を発ったばかりのガッシュ・ティオに対して、クリアは狙撃ではなく自律攻撃できる鳥形の呪文で攻撃開始。ティオの防御呪文で防ぐだけでは足りず、さっそく詰みかけたところ、アフリカから出発していたサンビーム&ウマゴンが自身らの乗っていた飛行機を降り、最新の強化呪文を使って生身で救助に駆けつける。前巻あたりから「シン」が名称に含まれる呪文がそれぞれの最強呪文として強調されて登場しており、ウマゴンが特訓で得た「シン」の強化呪文では、もはや戦闘機のように超高速で自由に飛行する能力を得ています。馬とは。そして乗っているサンビームさんはどうやって生存しているのか……。ちなみにサンビームさんは10ヶ月で妙に髪が伸びていますが、こちらのほうが大分いいですね。イケメンになったと思います。

 ウマゴンに限りませんが、戦いの中で強くなるというのではなく、特訓パートを経て強くなっているのを見るのは私はかなり好きですね~。ボコボコにやられてなぜか強くなるというのではなく、必要な苦労をして、戦いの開幕から強さが発揮される感じが好き。

 ウマゴンの活躍とガッシュの協力で鳥形の呪文は撃破。ウマゴンはティオの回復呪文で回復。清麿達の乗っていた飛行機はエンジンがやられたこともあり、ここからは魔物とパートナー全員でウマゴンに乗って移動。今度はクリアの超長距離砲撃が始まり、ティオの防御魔法で防ぎつつ徐々に接近。

 ティオの成長描写と活躍が熱い!ティオの「また明日」は明日が来ないフラグではなく、成長フラグでした。超長距離砲撃を受けきった代わりに(最後の1発はブラゴが対応したけど)、ティオの本は燃えてしまって魔界へ帰還。ここは泣いた。恵&ティオが好きなので……。

 

●ブラゴ・ガッシュ対クリア

 ガッシュ、ティオ、ウマゴンに対してクリアの注意が向いている間に、別ルートで接近していたシェリー&ブラゴはクリアと戦える距離まで接近に成功。特訓でのパワーアップもあり、まだ力を出していないクリアを圧倒します。シェリーもパワーアップした杖でヴィノーを攻撃して呪文の詠唱を妨害。シェリー本体つよいな……。クリアは完全体に近づくことでこれに対応、ブラゴは一転して防戦に。

 ブラゴが戦っている間、ウマゴンに乗ってガッシュが接近。ウマゴンももう限界だったため、途中で本を燃やして離脱。ウマゴン一族の、人を乗せて走ることの誇りみたいなエピソードが回想で流れます。馬漫画だった。いい話ではある、ウマゴンの家系でもいずれ喋れるようになるなら、ウマゴンも本編で喋らせてよかったのに……。

 そうしてガッシュもクリアの元に到着。ブラゴは自分一人で勝つためではなく、より確実な勝利を目指してガッシュ到着を待つための戦いをしていたのでした。特訓の成果の一つのようです。ガッシュとブラゴはチームワークを発揮し、ガッシュに至ってはバオウではなくおそらくオリジナル技?のジオウも披露し、クリアを追い詰めます。

 

●シン・クリア

 クリアが、最強呪文である「シン・クリア」を詠唱。清麿のアンサー・トーカーの能力は「シン・クリアを倒してはいけない」という答えを出しますが、対応しないわけにもいかず、同じく「シン」の呪文で仕掛けたブラゴに続けてガッシュもバオウを詠唱し、「シン・クリア」を撃破。ちなみにブラゴの力(重力操作)の根源は星そのものの力だそうです。カッケ……。

 「シン・クリア」は撃破されましたが、それに応じて「力の支配」が始まります(どういうこと?)。要するにクリアは「完全体」となり、巨大な化け物の姿になります。パートナーのヴィノーも無意識になって取り込まれますが、クリアがヴィノーに対して張っているバリアが超強いので、ヴィノーを攻撃しても無駄(逆に言えば、いくら攻撃してもヴィノーは無事)らしい。便利バリア。

 アンサー・トーカーの能力ではクリア完全体を倒す答えは「ない」らしいですが、抜け殻となってクリア完全体の眉間に埋め込まれている、元の人型クリアの額にある球体が弱点であることは察知できたようで、そこに集中攻撃。しかし力の差によって攻撃は効かず、絶体絶命の状況に。

 

●金色の本

 ガッシュの本が金色に輝き始め、今まで関わってきた魔物の呪文が使用可能になります。清麿の心の力は不要らしく、唱え放題。本編では使われていない、その魔物の最強呪文まで登場。これまでの魔物とその呪文が次々に登場し、クリア完全体を徐々に追い詰めていきます。

 この展開はさすがに熱い。文句なし。本作は大量に魔物を登場させて、そのぶん退場させていったわけですが、一人一人のキャラクターにちゃんと思い入れがあることを感じさせてくれますね。過去キャラの勢揃い演出、嫌いなオタクおらん。クリアに対して有効打を与えていく方法も、それぞれの個性が活かされていてすばらしいですね。

 つい先ほど離脱したティオも登場、全体回復呪文でガッシュと清麿のみならずブラゴも回復。分の悪さを感じ取ったクリア完全体は、自身が肉体を持たない体であることを活かし、宇宙空間への離脱を画策。宇宙空間へ逃げられては為す術がないかと思われたところ、コルルが再登場し、どんな環境でも命を守れる新呪文を披露。さらにウマゴンの呪文で宇宙に打ち上がり、クリア完全体との対決へ。ガッシュは最強呪文となるシン・バオウを詠唱し、宇宙空間にてクリア完全体をついに撃破。ついでにヴィノーも保護。

 

●魔物の子供の戦い終結

 最後にガッシュとブラゴの2名が残り、勝ったほうが魔界の王様になることに。しかし卒業式までガッシュと共にいたいという清麿の要求から、決着は3ヶ月後に。そうしてあらためてガッシュとブラゴは対決し、ガッシュが勝利、魔界の王となることが決定しました。

 まず最終決戦がガッシュ対ブラゴというのが最高なんですが(シェリー&ブラゴが好きなので……)、戦いの中でシェリーとブラゴの絆も描写され、最高。やっぱ序盤から登場してるキャラクターは重みが違うわけ!優勝!

 王が決まると、本が清麿に語りかけます。いわく、魔物の戦いにおいて傷ついた人、物、自然は元の状態へ戻るとのこと。そーなの!?どういう処理になるんだ……。そしてガッシュとの記憶を消して財産を得る選択肢を与えられるが、清麿は当然、ガッシュとの記憶を残すことを選択。

 

●後日譚、ガッシュからの手紙

 「後日譚がある作品は名作」、揺るがない真実。後日譚の内容もよく、魔物達から元のパートナーへ一度だけ手紙を書く機会が得られたという形で、魔界でいろいろな魔物が暮らしている様子が見られる。各魔物の描写が生き生きとしており、作品全体の世界観の完成度を物語っている気がしますね。ガッシュの戴冠シーンもあり、「見たいもの全部見た」という感じ。ガッシュの手紙の最後に同封されている集合写真に至っては、ページのそこだけカラーになっているのですが、これ電子版だけかな?紙でこれはできないよね……。とにかく完璧なエンディング。よくやった。

 

●オマケ(ガッシュカフェ、前魔界の王ダウワン・ベルと魔本)

 本編終了後のオマケは、ガッシュの父親と、システム存在となる魔本の対談。オマケの品質が完璧かな?ダウワン・ベルのパートナーらしきウィリーという人物が登場しますが、1000年前の人間なんでしょうか……。少なくとも魔本は、魔界の未来を考えて「王を決める戦い」を催しているということが語られ、魔本が黒幕なのではないか的な考え方は否定されます。いいフォローですね。最後にはあらためて魔物大集合のコマが描かれており、ファンサービスが猛烈。ごちそうさまでした。

 

 

まとめ

 すばらしい作品でした!もちろん、全体を通してイマイチな点が一つもないとまでは言いませんが、完全版(文庫版)全16巻という長すぎない尺で一つの話をきれいにまとめきっており、完成度はかなり高いのではないでしょうか。「王を決める戦い」から物語が始まり、「王を決める戦い」の終結をもって物語が終わる。話の本筋が脇道に逸れないのがいいですね。そして物語の締め方は相当なものだと思いました。ちゃんと終わる話はすばらしい!やはり評判のいい作品には評判のいい理由がありますね。

 文中で何度も言及していますが、好きなキャラクターは恵&ティオ、シェリー&ブラゴですね。もちろん清麿&ガッシュも好きだけどね!あとは全体的に言うと強いキャラが好き。デュフォー&ゼオンとか、バリーとかアシュロンとか。いまいち刺さらなかったのは言葉を喋れない魔物達、いまいちだと思った部分は千年前の魔物編……。

 そんなわけで感想文は終わりです。ためしに1巻ごとに感想を書くという形式でやってみましたが、全16巻でも思いのほか大変だったので、もうやりません!!少なくとも、あらすじまでほとんど書くようなやり方は大変すぎるので、やるとしてももっと簡潔に、自分が何を思ったかだけを書くようにしたほうがよさそうですね……。

 何はともあれ、たいへんよい漫画だと思われました!読んで良かった!おわり!

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