ゲーム感想 『Inscryption』

リンク等

Inscryption (Steamストアページ)

2021年10月20日発売。
定価2,050円(2021年10月31日現在)。

 

以下の内容にはネタバレがありますので、未プレイの方はご注意ください。
ネタバレを見ずにプレイしたほうが絶対に楽しい作品です!

 

ちなみに、私の『Inscryption』プレイ実況はこちら。ほんの序盤を30分だけ遊んでいます。
[INSCRYPTION] でじちゃんのゲーム紹介 (YouTube)

 

 

評価

総合評価:★★★★★
面白さ :☆☆☆☆☆
すごみ :☆☆☆☆
手軽さ :☆☆☆☆
当ブログにおける作品の評価基準についてはこちら(別記事)

 

発売前から話題になっていたくらいの作品で、間違いなく名作です。後述しますがオチが弱いので、すごみに関してはは星4で留めました。

クリアまで(スタッフロールが流れるところまで)の私のプレイ時間は14時間程度でした。そのあともっとプレイして、現在のプレイ時間は21時間ですね。

 

感想

 神ゲーです。

 

 わずかに微妙だったところを先に述べておきます。オチが弱いです。

 これは、「序盤から引き込まれるフィクション」にありがちなんですが、広げるだけ広げた風呂敷を畳まないタイプの作品だからです。序盤から引き込まれる理由は、風呂敷を畳むことを放棄しているがゆえに、興味を惹きそうな謎をいくらでも出せるからなんですね。「Inscryption」もこの例に漏れず、架空のカードゲーム「Inscryption」にまつわる魅力的な謎が大量に提示されるものの、それに関わった男性が殺されて終わりです。謎は何も説明されない。あれ?これで終わり?別ルートあるかな?と思ってしまうようなオチの弱さでしたが、いわゆるトゥルーエンドとかは特になさそうですね。

 それでもやはり、エンディング以外のワクワク感がすごいため、この手法の作品はこれまでもこれからも出るでしょうし、エンディング以外がこれだけ楽しいなら、この手法が正解なのでは?という考え方すらあると思います。私もそれは一理あると思います。

 何はともあれ、オチは弱いです。

 ※追記※ 一説によると、暗号がゲーム内の各所に隠されており、それを解読した先にもしかすると真のエンディングみたいなものが用意されている可能性もあるようです。が、尋常ではない複雑さであり、通常のゲームプレイの範疇で到達できる内容ではなさそうなので、ひとまずここでは無いものとして感想を書いています。

 

 それ以外の点に関して言えば、カードゲームやボードゲーム(アナログとデジタルを問わず)に多少の慣れがある人には必ずやって欲しいと言えるような、大変よくできたゲームでした!

 ここで「慣れたある人には」と前置きをするのは、特に最序盤は説明が少ない作りになっているからです。カードゲームにおける各種アドバンテージの概念とかを、言葉として知らないまでも、なんとなく理解しているほうがスムーズにゲームが進むと思います。

 カードゲーム部分以外についても、説明されていない部分から閃きで謎を解いていく部分があるので(そしてそれが気持ちよさの一つでもある)、ジャンルを問わず「ゲーム慣れ」がある程度必要かもしれないですね。難易度の低いゲームだとは思いません。

 このようにやや素質を問う面も感じつつも、とにかく面白いため、これからも語られ続けていくゲームの一つだと思います。現在の実況プレイ文化にもそれなりにマッチすると思いますが、一部、リアルタイムで映しているといわゆる「事故」の原因になりうる箇所があったので、そのへんは周知されておいたほうがいいような気はする……。

 

 具体的な面白さの話では、カードゲーム面のバランスが絶妙ですし、もちろん早くも「ネタバレ厳禁」のタイトルとして語られ始めていることからも分かる通り、ストーリー展開も秀逸でした。ストーリーというか、場面の遷移というか……。プレイ時間こそそう長くはありませんが、遊ぶ内容の多さという意味でのボリュームもかなりのものでした。カードゲームの基本的なルールこそ同一なものの、実質的に複数のゲームを遊べるようなものですからね。

 カードゲームは、シンプルながら楽しさのあるルールでした。ここからは便宜上、ゲームの内容を進行に沿って分けて、第1部(レシーとの対戦)、第2部(Inscryptionオリジナル版)、第3部(P03との対戦)とそれぞれ呼称して話します。根底のルールや使うカードはだいたい同じでありながら、それぞれの部で別々のゲーム体験ができるのが素晴らしいですね。第1部と第3部はいわゆるデッキ構築型のボードゲームのような側面があり、第2部はデッキ構築とゲームが切り離された、いわゆるカードゲームとして遊べるようになっています。そしてどちらも楽しい。

 プレイヤーがまだゲームに慣れていないことや、過激な表現も出てくる雰囲気の問題もあって、第1部が一番難易度が高いような気がしますね。ここでいきなり試される感じ。しかし面白さは詰まっていますね。レシーの獣カード(と、途中から死者カード)しか出てこない分、バランスもかなり取れているように思います。難易度があるぶん、遊びごたえもあるように思います。私はここはまだ最初の1回しかプレイしていないので、もっとやりこみたい気がしています。

 第2部はポケモンカードGBやカードヒーロー(GB版)を彷彿させますね。第2部は遊びやすくて好きです。ゲーム画面も明るいしね……。最初に4種類のデッキを選べることや、攻略順にある程度の自由度があるためか、難易度は低めな印象です。ダミー相手にプレミアムも無限に稼げるため、デッキは自由に組めますが、そこまで強いデッキを作らずともさっさとクリアできてしまいますね。

 第2部の初プレイは技術デッキ、クリア後に2回目を遊んだ時は魔法デッキで選んでみました。この2つを比べると、魔法デッキはずいぶん初期カードが弱い印象でしたね。それでも1/2程度のステータスのカードをなんとか出していれば勝ててしまうような難易度になっています。そして魔法デッキは、カードを集めきった後ならば、1ターン目にキーカードを必ずすべて引き切れるようなデッキも作れてしまいます。とはいえ、そういうデッキを作らなきゃいけないほどの強敵は存在しないので、自己満足の領域ではあります……。

 第3部は、おそらく多くの人が感じているところだと思いますが、やや冗長です。単純にちょっとボリュームが多すぎる印象ですね。隠しアイテム探しなどもちょっと作業的です。とはいえカードゲームは未だ面白く、ケチがつくほどではありません。ハードディスクやSteamのフレンドリストにアクセスしてくる箇所が出てくるのもここなので、そこでちょっとヘイトを稼いでいる気もしますね……。ちなみに「カードが倒されたら選んだファイルは削除されるよ」のところは、当たり前ではあるのですが、実際にファイルが消されることはありません。さすがに。それにしてもタチの悪いジョークだと思いますが……。

 ここの冗長さの理由の一つは、自分が使うべきカードにさほど自由さがないことかなと思います。たぶん大抵の場合は、ダブルガンナーがフィニッシャーなんじゃないでしょうか?あとはスナイパーが使いやすかったり、体力の多い敵は自爆で倒したり。第2部でもそうなのですが、技術カードはシナジーやコンボを狙うよりも、素直に数字の大きいカードを出して戦ったほうが強いように感じます。回路とかモックスなんて要らないっていう話ですね。自由に構築できる第2部ですら弱かった回路ギミックを、自由に組めない第3部で使いこなせるワケがなく……。「デッキに入ってしまうと引きが弱くなってしまって邪魔」という印象のカードが多く、デッキ構築のワクワク感が弱かったかなという気がします。圧縮の機会も少ないですしね。デッキの最終形を問われるラスボス戦が存在しないのもちょっと不完全燃焼。あんま難しくても困りますけども。

 そして第3部の途中あたりで、「どうやらこのボリュームの感じだと、残り2人のスクライブと対面するステージは無さそうだな……」と察してきます。実質エンディングのイベント戦闘みたいなのはありますけどね。そこはちょっと残念なような、ボリューム感を考えれば妥当なような。幸いにしてクリア後は各部を再プレイできるので、第2部に戻って死者デッキと魔法デッキを試してみるようなことはできます。カードが揃っている時点のデータを残しておきたいので、クリア後はセーブデータ複数持ちたいな……。

 

 まとめです。ゲーム開始時から、じっとりとした狂気を感じるような雰囲気、そして硬派なカードゲーム風のゲームプレイに魅了され、その後も驚くような場面展開の連続で飽きさせない、クリアまで熱中してプレイしてしまうような名作でした!どういうゲームかと聞かれると「ストーリーのある一人用カードゲーム」みたいな紹介の仕方をしてしまうのですが、もっとこのゲームの偉大さ、すごさが伝わるような紹介をしたいような気もします。とはいえ、プレイ前から身構えるのではなく、なんとなくこのゲームに接して、そして度肝を抜かれて欲しいという気持ちも強い!もし他の人に勧めるなら、私自身、ほぼネタバレを見る前にこのゲームをプレイできて良かったと思っているので、なんとかしてネタバレなしに興味を持ってもらいたいゲームでしたね~。

 

攻略情報(ゆるめ)

 「Inscryption Achievement」などで検索すれば、既に十分な攻略情報がネット上にありますね。まだ英語のページばかりかもしれませんが……。ここでは私が共有したい気持ちになった情報を適当に書いておきます。選出基準はなんとなくです。プレイしてれば普通に気付けるものばっかりかも。

 

・第1部:レアカード特有の効果

 一見、非レアカードと同じ効果しか持ってないように見えるレアカードは、書いていない隠された効果を持っていますね。たとえば「子ども13号」は猫と同じ能力ですが、捧げると絵柄が変わってステータスが上がります。

 ここで紹介するのはまず「ウロボロス」。2コストもかかるのに1/1で、死んだ時手札に戻るだけですが、実は手札に戻るときにステータスが+1/+1されます。さらにこのカードの成長具合は第1部から第3部まで引き継がれるようなので(第3部ではカード名「ウロボット」だったかな?)、育てておくと第3部で楽ができるかも。

 それと気になって試したのが、第2部の「クラーケン」。潜水と似た能力(相手のターンに攻撃を受けない)を持っているのですが、潜水とは別アイコンです。何かと思えば、このカードは潜水後に別の能力を持ったカードに変身します。「手札の枚数だけ攻撃力が増える」とか。第1部で、名前の読めない触手のカードとして存在したやつと同じのようですね。

 

・第2部:クローバー

 獣のスクライブの建物の近くにあるボートのところに行くと、クローバーが摘めます。クローバーはカードゲームの1ターン目最初に限って使用可能で、マリガン(初期手札の入れ替え)ができます。

 これ、説明あってもいいのでは……。

 

・第2部:無限コンボ

 「エナジー導線」と他の何かのカードで回路を作り、その中に「ハッスル・メイジ」を入れれば、「ハッスル・メイジ」の能力が何度でも起動できるので、攻撃力をいくらでも上げられます。

 というか、「666以上の攻撃力で攻撃する」という実績があり、この状態を作って666回以上能力を起動するのが正攻法のようです……。666回のクリック、しんどいです。

 これで相手にトドメを刺すと(ダミーでもいい)、当然大量のプレミアムが手に入るので、第2部のカードをほぼ買い放題になりますね。

 

・第2部:地下の悪魔

 死者スクライブの建物の地下に悪魔がいますが、彼と取引するにはオボル貨が必要になります(階段の上の幽霊がヒントを言います)。オボル貨は、2種類ある「壊れたオボル貨」をカードゲーム中に横に並べて場に出すことで入手できます。

 私はこれに気付くのに時間がかかって、カードリストを埋めるのに結構苦労したというお話……。それこそカードリストを眺めていて、壊れたオボル貨が2種類あることを見れば、すぐ気付きそうなものだったんですけどね(気付いても、面倒くさがってすぐに試さないのがよくない)。

 これに加えて、第2部ではマップ右にある菌学者の部屋に入って、2種カードをくっつける儀式を4回やっておくとよいです。この2つのイベントでそれぞれ鍵が入手でき、第3部で使えます。

 

・第3部:ウサギの革

 ※初期の記事では、ここで第2部の菌学者の鍵を使うように書いていましたが、違いました。修正します。※

 マップ左上のウーバーボットの近くにある錠はクリックするだけで解除でき、デジタル革商人と取引ができるようになります。ゲームから立ち上がって左側にある扉が開くということですね。

 デジタルウサギの革はマップ各地の隠し通路(マウスを寄せると矢印が表示される)と、最初のショップに1枚売っているので合計5枚あり、革を渡すとこのゲームに関する謎を少しずつ喋ってくれます。が、5枚分全部聞いてもよく分からないですし、考察ガチ勢とかでもなければまあ……実績目当てかな……(5枚とも交換すると実績が解除されます)。

 

・第3部:第2部の鍵

 第2部で手に入れた2つの鍵はそれぞれ以下の場所で使います。

 菌学者の鍵:「東ボットピア」のウェイポイントがあるマスからのみ、右下への隠し矢印があります。私も調べていて初めて知りました……。ここで鍵を使うと、菌学者と対戦できます。ウーバーボット以上の強敵なので、何体かウーバーボットを撃破してから挑んだほうがよさそうです。倒すと、OLD_DATAの匂わせをします。

 悪魔の鍵:右下のウーバーボットの近くに錠があり、ここで使えます。こちらも悪魔がOLD_DATAの匂わせをしてくるだけ?

 

・暗号?

 各所に存在するOLD_DATA匂わせは、一見は単なるフレーバーテキストに見えます。しかしインターネットで調べてみると、めちゃめちゃ複雑な暗号がゲーム内外にあるらしく、それを解読すると何かしらありそうだそうな?私は全然わからないです。暗号解読ファンに任せます……。

 「Inscryption Secret」なんかで検索すると、暗号解読についてのサイト(英語)がヒットします。気になる方はご自身の責任で調べてみてください!

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