映画感想 『レディ・プレイヤー1(字幕版)』

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レディ・プレイヤー1(字幕版)(Amazon Prime Video)

2022年1月15日現在、プライム会員特典で無料ですが、1月23日に終了するとのこと。

上映時間140分。2018年の映画。

原題は「Ready Player One」。2014年の同名の小説が原作だそうです。

 

あらすじ・概要

 巨大なバーチャル世界「オアシス」に人々が没頭している世界。作者であるハリデーの死後、オアシスの権利をまるごと引き継げる隠し要素がゲーム内に仕込まれていたことが判明する。そのイースターエッグを巡り、個人で謎を追う主人公達と、企業ぐるみで利権を狙う大企業IOIが、オアシスの内外で対決する。

 ゲームやアニメ、映画など、様々なオタクコンテンツのパロディというか、まるごとの引用があることが特徴。日本産のものも多いため、日本人オタクにも嬉しい造り。

 

評価

総合評価:★★★★
面白さ :☆☆☆☆☆
すごみ :☆☆☆☆☆
手軽さ :☆☆
当ブログにおける作品の評価基準についてはこちら(別記事)

ほぼ★5の面白さですが、140分という長さと、盛り上がりの多くはパロディに依存しているという点、海外映画のいつものノルマだけでやってるような余計なロマンス成分から★4としました。

 

感想

 オタクが喜ぶ映画というような感想は以前からよく聞いており、くすぐったくてかえって敬遠していた作品。しかし良い意味で思っていたより子供向けでした。子供向けファンタジー映画なんだけど、題材が実在のゲーム・アニメ・映画やバーチャルリアリティになったような感じ。オタクネタは多量に出てくるけど、話の流れまでオタクっぽいというわけではなく、良い子供が悪い企業に打ち勝つ!子供の遊び場を金儲けに使おうとする悪い大人を追い出す!みたいな、シンプルな勧善懲悪でよかったです。世界観はVRChatやソード・アート・オンラインを彷彿しました。

 原作小説があったんですね。読んではいないですが、おそらく原作が面白いのでしょう。そうだとしても、この映像化はすばらしいですね。脚本も、尺がちょっと長いですが、映画1本としてまとまりのある内容になっていると思います。

 良いところはとにかく映像の品質、分かりやすく明るい物語、そしてオタクコンテンツへの敬意が強めに感じられるところですね!日本人だとどうしても、「俺はガンダムで行く」のシーンで感嘆してしまうことでしょう。オタクはチョロいから。上映当時も、この部分の評判は自然と目に入ってきていました。他にも、セリフすらないところでも色んなゲームのキャラクターが登場しており、気合が入り方が伝わってきます。

 音楽はあまりパッとしなかったような気がします。元ネタを知らなくて私が理解できていないというのも多そうですが……。最初のレースのシーンなんか、BGMが無かったのが不思議でした。

 いかんせんゲーム・アニメ・映画のネタが多いため、全て拾いきれるものではありません。特に私は映画「シャイニング」を観ていないため、中盤の一部分をまるごと理解できなかったようなものですね……。

 オタク文化の悪いところもある程度再現してしまっていますね。主人公がネット上で女性アバターの人物に入れ込んで、すぐ恋に落ちて本名まで明かしちゃうところとか……。あと、そもそもアバターの目が大きすぎてキモい。そこまで再現しなくても……。もし舞台が日本だったらほぼ全員美少女だと思います。

 バーチャル世界「オアシス」と現実を行き交う展開が面白さの一部だとは思いますが、オアシス内の面白さに比べると、やはり現実のシーンはイマイチ面白くないですね。主人公の実家の雰囲気が悪いところとかは削っても良かったのではないかという気がします。しかもわざわざ描写した叔母さんもヒモ男もあっさり死ぬし!現実のしがらみなんて不要、そんなメッセージを受け取っちゃいますね。140分と長い作品なので、そのあたりと、あとマジで配給会社からノルマを課されてるだけなんじゃないかとしか思えないロマンス要素を切り落として、せめて120分まで詰めて欲しかったですね。

 物語の本筋となるイースターエッグ探しはやたら複雑で、作品内でも5年間は進捗がなかったことが語られています。こういう、やたら難易度の高いイースターエッグって、海外っぽいですね。いくつか聞いたことがあります。日本はこういう異常に難易度がたかくてオタクが集まって謎を解くみたいなことあんまりない気がする……。

 主人公サイドの登場人物がわりと超人。一瞬見ただけで当然のようになんでも記憶できちゃう記憶力とか……。主人公サイドは少数精鋭で個人が超強い、敵サイドは数が多いけど烏合の衆、定番ですね。定番でいい。主人公は強いほうがいい。

 気になったシーン。最後にIOIの偉い人をスタック(主人公の町)の人達が大勢で囲むのに、拳銃を取り出しただけで全員ビビって横に逸れて道を空けるところ。それだけ人数がいて近くを囲んでいれば、羽交い締めにして拳銃奪っちゃえば問題ないでしょ!誰もそうせず、主人公らのところまで素通りさせちゃうの、薄情すぎる。主人公はこんなところとは縁切って、これからはデカい仕事に取り組んでください。親類もういないし。

 比較的シンプルな話で、展開を予想しやすいところも多かったように感じますが、最後に明かされる案内人の正体については私は想像できておらず、良い驚きでした。すわAIかとも思われた案内人の正体が、ハリデーの元相棒のモローだったというのは好みの展開。モローとソレントの区別がいまいちついてなかったというのもありますが……。ハリデーとモロー周りの人間関係ドラマは、尺はさっぱりしていながらも深みがあり、良いと思いました。

 主人公の呼びかけに応じて最後の戦いに参加した味方のモブたち、全員カタクリストに巻き込まれてデータ消えたのかわいそう……。恨まれそう。

 オチが「だって……現実だけが現実だからね!」ってことで、カップルになった主人公がイチャつきを見せて終了というのはちょっとしょっぱかったです。そういうしょーもないオチをやるなら、アルテミスは女アバターだけど現物では男でしたってことにしてからやってください。そっちのほうが”現実”なので……。

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