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天穂(てんすい)のサクナヒメ
2020年発売 Nintendo Switch、PS4、PC
評価
総合評価:★★★★★
面白さ :☆☆☆
すごみ :☆☆☆☆☆
手軽さ :☆☆☆
当ブログにおける作品の評価基準についてはこちら(別記事)
「面白さ」を☆3にしておいて、総合評価が★5っていいのか?という気もしつつ……。面白さそのものというよりは、全体の体験が独特なものになっていることや、世界観やキャラクターの秀逸さがすばらしいゲームでした。
プレイ時間は26時間ほど。クリアまで直行という感じで、やりこみ要素はほとんど触っていません。おそらくイベントは全部見れたのではないでしょうか……。もし、やりこみ要素に対応するイベントがあるとしたら、それらは見ていないことになります。
発売当初から話題沸騰のゲームでしたが、しばらく前に買うだけ買ってなかなか着手できていませんた。評判に違わぬ名作だったと思います。最近は日本の世界観をテーマにした話題作が海外からも発表されていて、どことなく不甲斐なさのような気持ちも感じていましたが、日本発の「天穂のサクナヒメ」がこうも見事に日本らしさを描写していることを知り、心がだいぶ穏やかになりましたね。
感想
良いところ:
・キャラクターが魅力的である。萌え。サクナヒメ、ココロワヒメ、ゆい、のラインナップを考えるとロリコン向けの感は否めないが、魅力的であることは間違いない。ココロワヒメもゆいも好きです。
・世界観も魅力的である。コミカルなところも好感。日本風の世界観として、多神教特有の神々のゆるさ、他の宗教やSFまで取り込みうる文化的な警戒心の無さが抜群に表現されていると思いました。このあまりにもネイティブな「日本」感はさすがにまだ、海外からでは描写できないだろう……と思わせられる。思いたい。
・米作りのゲームへの落とし込み方が秀逸。私は実際の米作りのことは全く知らないので、ゲーム内での米作りがどのくらい現実的で、どのくらいデフォルメされているのかは分かりませんが、それでもプレイ前よりは米作りのことが分かったんじゃないでしょうか。年間を通して米を作る作業がゲーム化されているというだけでなく、少しずつ農具が近代化されていくことで歴史的な要素も感じられます。また、サクナヒメが農技を身につけていくという形で、最初はとにかく面倒なそれぞれの作業が、かろうじて何度も繰り返せる程度まで軽減されていくのも見事。更に、「稲作をしつつも、空き時間で他の作業を進めなければならない」という、おそらく農業をするにあたって実際に感じるのではないかと思われるジレンマまで体験できるのは、シミュレーションゲームとして素晴らしい出来だと思います。
・ストーリーも予想以上に盛り上がった。エンディングの感動と余韻はかなりのもので、それがかえってクリア後のプレイを続ける際の抵抗感にすらなったきらいも……。キャラクター個別のシナリオもよく、ゲームを進めて各キャラのことをもっと知りたいと思わせる、良質なテキストだったと思います。ココロワヒメのシナリオとゆいのシナリオが好(略)
そんなでもなかったところ:
・アクションゲームパートは平凡だと感じました。アクションも稲作もイージーを選択してしまったので、それで張り合いがなかった可能性はあるかもしれません。ステータス値も、勝手に伸びていくようなものなので、どのくらい影響しているのかなどあまり気にすることもなく……。羽衣を地形にうまく当てるのが結構難しかったり、ダウンした敵は復帰まで無敵になるため倒し切れないと妙に時間がかかったり、強い技を連発してゴリ押すのが結局強かったりと、爽快感などで特筆するものは無かったかと思います。ただ、このあたりは、膨大な開発リソースを投入して作られている超大作アクションゲームなどと比較して勝てるわけのない部分なので、むしろ十分遊べるレベルまでは仕上がっているところが恐ろしいとも言える気はします。
・稲作はユニークで興味深い要素でしたが、ストレスもそれなりに多かったと思います。イージーであってもすぐ稲熱病になったり雑草が生えたりする中、ある程度の時間はダンジョン攻略に割かなければゲームは進みませんし、かといって稲作をないがしろにしてはステータス上昇が滞るため攻略に支障が出ます。(とはいえ、稲作を適切にやるのと雑にやるのとで、どれくらい差が出るのかは不明。)このあたりは常に考えながらプレイさせられるので、それが醍醐味の一つではありつつも、気の重さも常にあったと思いました。言ってみれば全ての行動に時間制限がついているようなものですよね。
・一部の素材集めが妙に厳しい。粘土とか黒鹿の毛皮とか。
・山賊出身者(田右衛門、かいまる、石丸)は魅力に乏しかった。もうちょっと美形にするとか、いいとこ見せるとか……。